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ろまんくらぶ「仮面の天使」15

 亜紀はまるで健の心の中を読み取っているかのように、痛いところをついてくる。 「あの、茉莉さんは?今日は」 「え?ああ、彼女、旅行」 「最近スタジオにも来ないじゃない?」 「え、ああ彼女は焼きもちやきだからさ。ほんと、子供で参っちゃうよ」 「え〜?彼女いくつ?」 「大学生」 「う〜ん、まだ子供かもね」 話しながら亜紀は、その時着ていたジャケットを脱ぐ。 「あ〜なんか、あつくなっちゃった」 彼女は下に、谷間が見えるくらいの、ぴっちりとした大きく胸の開いたタンクトップを着ている。酔っ払ってきていた健の目は思わずそこに釘付けになる。彼は飲み過ぎだったが、大抵の男性よりもお酒が強い亜紀は平然としていた。 本当は茉莉に会いたいけれど、腹を立てていて意地になっていて、会えない健はやけくそな気分。茉莉がまだ怒っていて連絡が来ないのだと気分はダウンしっぱなしだった。 こうして見ると亜紀は茉莉よりも肉付きがかなり良かった。下には生地の薄いジーンズを履いていたので、太ももの肉付きもわかる。ついいけない考えを健は起こしそうになってくる。茉莉に対して、半分、「ちくしょう」という気持ちになる。俺が我慢しているのに、あいつは、こんなこともわからないのかと、今度はイライラが募ってくる。 「ちょっと、あの、飲み過ぎなんじゃないの?」 亜紀は健の背中を撫でるようにして、体を近づけてくる。彼女のその胸が彼の鼻先にくる。健は自分の中で欲望が頭をもたげてくる。茉莉を大切にするあまり、いつも押さえてきた肉体の欲求が起こってくる。

ろまんくらぶ「仮面の天使」14

友人と出てきているから、食事でもしないかと亜紀は誘ってくる。健は「ほら、亜紀はさっぱりとした女性じゃないか。なんなんだ茉莉は」とぶつくさ言い始める。 呼び出されて待ち合わせの場所へ行くと、亜紀は友人と先に着いていた。結局、健、亜紀、彼女の友人の久美の3人で焼肉を食べることになる。景気づけに生ビールで乾杯し、みんなでカルビをぱくつく。別に色気っていう訳でもないじゃないかと、健は茉莉が勘違いしていると、また彼女を子供っぽいと思う。ちょっと大人になったのは見かけだけかと少しがっかりする。 お腹がいっぱいで、いい気分になった後は、バーへ行き、そこで健はついテキーラをぐいっとあおる。それから3人でクラブへ向かう。 そこで久美は亜紀と打ち合わせたとおり、こっそりと抜け出す。出る時に、亜紀に目配せしながら、 「うまくやりなよ」 と耳打ちをする。亜紀は健と薄暗い場所で2人っきりになる。24時も過ぎるとお酒が相当まわってくる。 「あれ?彼女は?」 久美がいなくなったことに健が気づく。 「さっき帰ったよ。彼氏に呼び出されたって」 亜紀はしらばっくれる。 「そう?ま、しょうがないよ。で?君はどうするの?彼氏心配するんじゃない?」 聞かれて彼女は少し口ごもる。うまく誤魔化さないと計画がおじゃんになる。 「私?あー、うん。彼、仕事だから。しょうがないよ。理解してあげないと」 彼女のその言葉に、大人だなと健はまた茉莉と比べる。心の中で、「あ〜あ、この位、茉莉が解ってくれたらと、がっかりにちょっと幻滅が加わる。茉莉の焼きもちがだんだんうざったくなってくる。何よりも、茉莉が、健が彼女のために仕事も頑張って、マンションまで買ったのを理解していないのかと思うと、無性にイライラして腹が立ってくる。

ろまんくらぶ「仮面の天使」13

道すがら茉莉は法子に悩みを打ち明ける。聞きながら友人は諭すように話し始める。 「茉莉は昔のことと混同してないかな?もっとよく確かめた方がいいよ」 「そうなのかな、、」 「多分、その亜紀って人がその気があるのは、もう間違いないと思うけど、健さんはそうなのかなあ」 法子の冷静なアドバイスに茉莉の気持ちは少しずつ落ち着いてくる。 「もしかして、茉莉ってのんびりしているから、ひょっとするとひょっとして、その亜紀って人に、ほら、はめられたとか」 「まさか、そんな。でも、でも彼は私を子供だと思っていて、何を言っても信じてもらえない」 「男って、そういうトコちょっとわかってないというか詰めが甘いというか」 法子はため息を吐く。 その朝、健は茉莉に電話するが、彼女の母親に旅行に出たと告げられる。 「健さん、お仕事だって言ってたわ」 どうも茉莉は親に嘘をついているので彼は言い淀む。余計な詮索をされたくなかったので、喧嘩のことは伏せて嘘の説明をする。 「いや、あの急にキャンセルになって、、、で、泊まってる場所を知りたいのですが、できたら連絡先も」 「えっと、ちょっと待っててね。確か、ホテルの番号メモしてあるから」 「お願いします」 健は、茉莉が彼の言葉をそのまままに受けて怒っているらしいのを感じているため、彼女のスマホに連絡しずらい。 「はい、えっと番号は」 「あの、彼女ひとりなのでしょうか」 「いえ、高校生時代の同級生と一緒で、もちろん女性ですけど」 「わかりました。すみません」 とりあえず、健はもらった番号に電話をかけてみる。 「お電話ありがとうございます。ガーデンホテルでございます」 「あの、宿泊している菅原茉莉さんをお願いしたいのですが」 「かしこまりました。少々お待ちください、、。あいにく、ただいま、外出されてるようですが、メッセージをお残しになりますか?」 「はい。お願いします。私、藤原と申します。戻ったら連絡が欲しいと伝えてください」 「かしこまりました。藤原様ですね」 説明しながら、健はがっかりして少し苛立つ。こういう時に待っているのはあまり得意ではなかった。 その夜、茉莉と法子は観光を終えてから夕食前に戻ってくる。メッセージの事を知ると、法子の後押しもあって茉莉は電話をかけてみる。すぐに留守電になってしまい、茉莉はメッセージを残す気になれなかった。本当を言えば、今考え...

ろまんくらぶ「仮面の天使」12

たまりかねた茉莉は、ある日、約束をすっぽかす。さすがに健は怒り出す。本当はそんな気はなかったのに勢いで電話する。 「婚約解消する!?」 口をついて出た健の言葉に、茉莉も今までの不満から勢い返事をする。 「そうしよっか」 言い終わると彼女は派手に電話を切る。彼女はさすがに腹が立っていた。乱暴な言葉を繰り出す。 「どいつも、こいつも、ふざけんな!」 その日の晩はでも、家族と食事をしながら、茉莉は平静を装っていた。表面を取り繕いながらも、もう、わたしダメだ、と実際は投げやりな気分だった。なかばやけくそで食事をぱくついていたので、それを見て家族は、やれやれ元気が出たかと勘違いする。 電話を切った後、健は茉莉がかなり腹を立てていた事を心配した。でも彼女は子供だから、その内に機嫌も直るだろうと思っていた。約束をすっぽかされた健は、急に暇になったので、亜紀や他のスタッフに連絡して外で騒ぐことにした。 その夜、茉莉は親友の法子に悩みを打ち明ける。 「どっか行く?」 誘われてふたりで週末ちょっとした旅に出ることにする。出かける事を茉莉は母に話す。 「あら、健さんとの約束は?」 「うん。何か仕事が入ったんだって。それに、いつもいつも彼とだけっていうのもね」 「まあ、そうね」 いつも健にべったりな娘の言葉に母親は不思議そうな表情を浮かべる。 「少し機運転換したいの」 念押しのように茉莉は言葉を続ける。 次の朝早く、茉莉は法子と旅行に出かける。そう遠くはない山間部へ向かう。

ろまんくらぶ「仮面の天使」11

茉莉は健に何も聞かずに苦しむ。彼女はだんだんと彼に対してイライラした様子を見せ始める。どうしたんだろうと、まるで身に覚えがないので、健もだんだんと腹が立ってくる。この頃の茉莉はどうもあたりがきつい。 そんな状態がひと月も続いただろうか。 「俺と一緒にいるのが嫌なのか?」 彼はつい彼女にきついことを言ってしまった。彼女は落ち込みがひどくなってきていて、彼の言葉に強いショックを受ける。そんな彼女に 「わけを話してくれ」 と彼は詰め寄る。 「君のその態度は俺には全く理解できない」 と少し突き放すような言い方になる。 最初、黙っていた茉莉は少しずつ話し始める。スタジオで見たことを説明すれば良かったのに、混乱して上手く言葉が出てこない。イライラしてくる健に、亜紀さんとのことを疑っていると話すと、彼はやれやれという呆れた態度を示す。 「何言ってんの?馬鹿馬鹿しい。君ってそんなことにまで焼くの?彼女とは仕事上の付き合いで、何もないのに」 何もわかっていない健は、茉莉は単なる子供じゃあないかと、まるで年下のわがまま娘を扱うような言い方をする。 「あのね〜、そんなことで、こんなになられても、困るんだよ。仕事は仕事。君は君でしょ。もうちょっと大人になってよ、頼むから」 その言葉を茉莉はなかば侮辱と受け取る。じゃあ、あの女の、あのにやにや笑いは何なのよ、と思うが、それを上手く説明できない。 「彼女、あなたの家に来たことあるの?」 「え〜?あるよ。そりゃ。俺、スタッフ呼んで宴会するし、書類とか届けに来ることもあるよ。そんなこと気にされても困るよ、俺は」 健は茉莉に対して、まるで焼きもちやきの子供に言い聞かせるような口調になる。彼は、でも逆に、この時まだ自分というものをよく理解できてはいなかった。茉莉はますます怒りがたまってくる。でも、これ以上、子供だと思われたくないので、黙っている。表面を取り繕う。 その日以来、健はまた焼かれたら困るので、茉莉をあまりスタジオに呼ばなくなる。彼女に対して相変わらず優しかったが、どうにも扱いかねるという態度をする時もあった。茉莉はそれがだんだん我慢できなくなってくる。

ろまんくらぶ「仮面の天使」10

その時以来、茉莉は健と亜紀の関係を疑いだす。全ての健の何気なさが、まるでわざとらしい嘘のように思えてくる。茉莉は、そのことを友人に話せばいいのに、誰にも言わずに胸の中に溜め込んでいた。家族は彼女の食欲がなくなってくるので心配し始める。健とは上手くいっているはずだし、何が原因だろうかと周囲はいぶかる。 茉莉は、健と亜紀を観察する内に、亜紀が彼の電話番号やメールアドレスはもちろんのこと、住所や趣味や食事の好みなどもよく知っていることに気がつく。 「じゃ、もしかして、彼が私を送った後にでも、会っているのかもしれない。彼はたいてい自分を遅くとも10時くらいまでには家へ送る。その後、待ち合わせをしてどこかのバーででも飲んでいるのかもしれない。その後で、もしかして、、」 そんな考えが茉莉の心を掻き乱す。 健はだんだん茉莉が少しずつ痩せてくるので、さすがにどうしたんだろうと思い始める。どこか体の具合でも悪いのではないかと考える。それを彼は何気なく自身の親に話し、それが茉莉の親に伝わる。周囲は茉莉がどうも何かに悩んでいるのを理解する。その内に彼女は健からの誘いを何回か気分が悪いと言って断るようになる。 さすがに健はだんだんと不安になってくる。一体茉莉はどうしてしまったんだろうか。

ろまんくらぶ「仮面の天使」9

 仕事を終わらせると健は、車で茉莉をどこかに連れて行こうと考える。食事は彼女の差し入れで済ませたので、バーとか映画とか色々と思い浮かべる。 「どこか行きたいところあるかな。バーとか映画とかその他何か。どっちがいい?」 「どっちでも」 「じゃあ、映画にしてみる?」 「うん、、」 健は疲れているので、茉莉が沈んでいるのには気づかなかった。映画館に入ると彼女はさっきのことしか頭になくなる。そのうちに健はうとうととし始める。こうなると映画のストーリーはあやふやになる。 帰りの車の中で茉莉はやっと少し不安を口にする。 「あの、さっきの亜紀さんって」 「あ、彼女?スタッフだよ。よく仕事してくれてるし、助かってるよ。彼女が何か?」 「ううん。別になんでもないけど」 それ以上はなんだか説明しずらい。 「あー、今日はまじ疲れちゃったよ」 「あの、いつも、あんなに遅くまで、その、彼女」 「う〜ん。結構ややこしい仕事してもらってるから。ま、週2〜3回は」 「そう」 「何で?さっきっから」 「いや、あの、大変だなって」 誤魔化そうとして茉莉は嘘を吐く。疲れているせいで健は彼女の微妙な心の動きにまで気が回らない。もし、健がもっとよく亜紀と茉莉を見ていたら、状況が飲み込めたはずだったが、とにかくその日は帰って眠りたかった。 茉莉を家まで送ると、いつものように健は彼女にちょっとキスをする。無理をしたくなかったので、あんまり彼女を引き止めなかった。茉莉にとって、そんな健の態度が、逆に彼女に対する関心が薄れたかのように見える。だんだん女らしくなってきた茉莉には、それが疑いの種になってくる。 もしかして、あの亜紀さんと、、。 茉莉はそうやって疑いの泥沼に、少しずつ、少しずつ、落ち込んでいく。 健は、茉莉におやすみを言うと、帰っていく。疑いに取り憑かれたまま、茉莉はぼんやりと家の前で彼の車を見送る。彼女は、生まれて初めてと言っていいくらい、苦しい嫉妬の気持ちを覚える。あの婚約者の時は、事がすぐばれて、苦しんでいる時間はなかった。でも、今回は、ただ、疑いの気持ちが覆いかぶさってきた。そんな茉莉の思いを健は何もわかっていなかった。 家へ入ると茉莉は、ゆっくりとお風呂に入り、気分を変えようと努める。でも、ベッドの中で、天井を見つめると、もやもやした気分を持て余し始める。 車を車庫に入れると、健は足早に...

ろまんくらぶ「仮面の天使」8

 「まさか」と思うものの、茉莉には疑惑が生じてくる。彼女はまじまじと亜紀を見る。亜紀は健にわからないように、わざと嘲るように茉莉を見返す。茉莉は研究室の女性と同じ目つきだと、かっての婚約者が彼女を裏切った時と現在が重なる。茉莉は健と亜紀の仲を完全に誤解する。2人が関係があるのではないかと疑い始める。茉莉は、彼女自身がトロくて気づかないことが多いのは、もう承知していたので、逆に必要以上に気になってくる。もっとよく健を見ていればわかることも、見えなくなってくる。茉莉は健の気持ちを疑い始める。彼が女性の扱いに慣れているので、かってのあの婚約者以上に彼女を馬鹿にしているのではないかと茉莉は意識する。 亜紀は、茉莉の表情から作戦が成功したのを察すると、お茶を飲み、さっさと帰り支度をする。 「お先に失礼します」 「お疲れさま」 亜紀に向かって一旦振り向いたものの、健はすぐにパソコンの画面に向かう。 茉莉は「お疲れさま」と口では言うものの、目は笑っていなかった。その彼女に向かって亜紀は馬鹿にするような薄笑いを浮かべる。茉莉は、ありもしないことを確信するとその場に凍りつく。 「また?また、、、同じこと?」 彼女は黙り込む。健は茉莉の変化に全く気づかなかった。

ろまんくらぶ「仮面の天使」7

亜紀はなるべくさりげなくしていた。健の経営しているスタジオに面接を受けて潜り込み一緒に働くようになった。チャンスはいくらでもある。いつも周囲にいながら、彼の隙をうかがっていた。わざと他にボーイフレンドを作り、スタジオに迎えに来させたりして、気づかれないように色々と手を回していた。亜紀は観察を続け、そのうちに、健が遅くまで残る日を細かく把握する。「とにかく、茉莉にまず疑いを起こさせればいい」と思っていた。「あんなトロそうな女、私の敵ではない」などと亜紀は考えていた。 週末には健は茉莉をよくスタジオに呼ぶ。それを知った亜紀は、その日も遅くまでわざと残っていた。 「それ、終わんないのかな?」 「あ、はい。もう少し」 「あんまり、遅くなりそうなら先に帰ってもいいよ」 「はい。でも、やりかけなので」 茉莉と2人きりになりたいのか、健は亜紀を帰そうとする。彼の目には亜紀は仕事熱心な、ごくさっぱりとした女性としか見えなかった。それなりに仕事は出来るので、大切なことも任せるようになった。 そうやって、亜紀と健は9時をまわる頃まで仕事を続けていた。他のスタッフがいなくなり、そこへ茉莉がやって来る。差し入れを持って、何も知らずに近付いてくる。 「お疲れさま。お腹空いてない?」 「あ、助かる。わるい、もう少ししたら終わるから」 気をきかせて茉莉はお茶をいれに行く。亜紀は手伝いには行かず、わざと健の後ろへとまわる。スタジオの外からは中が見えている。茉莉はお茶を持って戻ってくる。亜紀はそれを認めると 「あ、ゴミですよ」 と言って、わざと茉莉に見えるように健の髪に触れる。手の動きが茉莉からはっきりわかるようにする。茉莉はそれを注視する羽目に陥る。彼女の目は亜紀の指先に釘付けになる。そんなことには健は気づかない。亜紀は茉莉にしっかりと見られたことを確認すると、今度はわざと、「あ、見られちゃった」という感じの仕草をする。 茉莉は、何かいけないものを見てしまったと思い込む。

ろまんくらぶ「仮面の天使」6

双方の家族が集まり、茉莉の実家でちょっとしたパーティーを開くことになる。健は「俺が行く」とひとりで彼女を成田まで迎えに行く。周囲は2人の邪魔をしないようにと何かと気遣う。 彼の車が見えると彼女は大きく手を振る。お土産を両手に持ちちょこちょこと歩いてくる。少し疲れているけれど、花柄のワンピースに三つ編みは可愛かった。彼女のスーツケースを受け取る手に力が籠り、本当は抱きしめたいのを彼は我慢した。茉莉も抱きつきたいと思っていたが、恥ずかしそうに、ただ微笑んでいた。2人は荷物をトランクに入れ、すぐに成田を出発する。助手席で彼女はこっくりこっくりしている。そんな茉莉を見て健は「俺に甘えちゃって」と、まだちょっと妹みたいだと感じる。 ふと彼は初めて彼女が自分の家へ来た時のことを思い出す。彼は小学生で彼女はまだ生まれたばかりだった。その時は、妹ができたみたいで嬉しかった。「妹」じゃなくなった彼女を、「俺は守れるのかな」と彼は少し不安になる。でも彼は、例の女性、近付いて来る亜紀の邪心には、全く気付いていなかった。 自然の成り行きで、茉莉と健は正式に結納を交わす。 ただ亜紀は、2人の邪魔をしようと、じっくり機会をうかがっていた。