ろまんくらぶ「仮面の天使」97
台所にずっと座っているのもだるくなってきたため、健は居間のソファに横になる。うとうとしているうちに、いつの間にか眠ってしまう。青い天使が彼を見守るように頬杖をついている。
「あっ」
何だか奇妙な夢を見て、健は目を覚ます。時計を見るともう11時をとっくに過ぎている。恐る恐るスマートフォンの画面を見るが連絡さえ入っていない。
「ほんとに、どうしたんだろう」
ふと嫌な感じが胸をよぎり、茉莉を夜毎探していた時の感覚が蘇ってきて不安になってくる。うきうきしていた気分はとっくに消え去り、部屋の空気が1人であることを強く思わせる。
台所へ行き、テーブルを片付けると、いてもたってもいられずに外へ出る。また茉莉を探し回らなければならないのだろうか。そう思うと焦りの色が見えてくる。コートを羽織っていても外は肌寒く、彼はあてもなくブラブラと歩き回る。遠くには駅の灯りが見える。茉莉が戻ってくるまでここで待っていようかと改札口に佇む。人の波が来るたびにその中に彼女の姿を探す。せっかく元に戻ったと思ったのも束の間、彼女の心は寄り添ってはくれない。
そうして小1時間もそこに彼は立っていた。空気の冷たさが彼の頭を冷やし、終電の人波が過ぎるとマンションへ戻る。
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