ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」46
そうして様々な話の中には理沙に対して客とつきあっているのかという上司の小言が聞こえる。彼女はそれを否定するが、何かを感じ取っているのか、上司は相手の希望があれば、全て上に報告しろと命じている。 それを小耳にはさんだ剛はもうぐずぐずしてはいられないと感じる。理沙にもいずれ、色々と知られてしまうと思うと、アメリカの夫人に頼んで研修目的で店に張り付く人物を寄越してもらう。日本語が片言の学生を装った人物で、実際は日本語が完璧だった。できないふりを演じながら店の資料を研修目的で見せてもらう。短い時間で事務所の資料を調査する。剛とは電話やメールでの連絡はせず、美術商や外での面会も無し。宅配業者をその人物が装い、特別な場合を除き、週1〜2回、文書で経過を連絡。アジア人とのハーフで元々は薄いブラウンの髪に緑色の瞳だが、帽子、カラーコンタクト、ウィッグで変装して報告書を剛の家のポストへ直接届ける。 彼、モディアノは研修の一環として印刷された顧客台帳をもとに、パーティーの招待客への招待状を送る作業を手伝いながら、顧客の名前を頭に入れる。管理業務を習得するため、管理台帳の記録方法を学習する。必要なのは古い台帳だったから、現在の台帳はあまり見せられないと言われた事が幸いした。 モディアノから送られてきた台帳のコピーを剛は念入りに調べたが、問題の作品らしきものは見当たらない。加えてコピーには1960年代から1970年代に購入、販売したものしかないことに気付く。店が戦前からあったことを考えれば、それは奇妙なことだったが、疑問はすぐに解決された。よくよく見るといくつかの作品の移動年月日の前に1950等の年の記録がある。つまりこの台帳よりもさらに古いものがあるようだった。そう思ううちに剛はふと耳にした従業員同士のある会話を思い出す。 「ねえ、この作品の資料はどこにある?」 「ああ。それは古いから倉庫にあるよ。確か一番古い台帳と一緒だったかと」 「一番古い台帳って?」 「ああ、確か、、、えーっと」 そこで古参の社員が口を挟む。 「その台帳は金庫に入っているはずだよ、鍵付きの」 「じゃあ、鍵は社長が?」 「それと、、、確かお嬢さんも持っていたかと」 「じゃ、お嬢様に借りればいいのかな?」 「多分」 そうか、その、一番古い台帳、、。 会話を思い出した剛は瑠璃にもっと近づく決心をする。理沙の手前、、、何か...