ろまんくらぶ「仮面の天使」32
引っ越したと連絡のあった日を境に、茉莉は全く連絡をしてこなくなった。健は、スタジオから恐る恐る連絡してみるが、家族は不在なのか誰も電話に出ない。考えると、彼は今となっては彼女の実家の電話しか知らない。彼女は彼に新しい住所も新しいスマホの番号も教えなかった。彼女の実家の留守電にメッセージを残しておいたが、健が仕事中で忙しい時間に、折り返し連絡があって、 「会いたくもないし、電話もしてこないで」 とかなりきっぱりとしたメッセージが彼の留守電サービスに残っていた。彼はそれを当然だと考え一旦は引き下がる。とにかく今回はどうしようもなくこじれそうだと予感する。とにかく会って直接説明しようと、健はまず茉莉に会う手段を模索する。 その週末に、茉莉は両親を呼び出す。彼女は店を決めて彼等を食事に招待する。2人は彼女に呼ばれていそいそと出かけて行ったが、彼女の姿を一目見て仰天する。2人は彼女が何故そんなに変わってしまったのか理由を必死で探ろうとする。髪が短くなっていただけではなく、以前のふわふわとしたレースの飾りのついたワンピースではなく、まるで父親の若い頃のようなイタリアブランドのスーツに身を包んでいた。それだけではなく化粧は相当キツく濃くなっていた。