ろまんくらぶ「仮面の天使」30

あの時、健は、茉莉が子供っぽくて嫉妬深くて仕事の邪魔になると、一方的に婚約を取り消したいと告げた。対して彼女は何も言わず、ただ黙ってしばらくひとりにしてくれとだけ告げると、居間で泣いていた。そのことを思うと、彼は彼女がそんなに子供ではないのはわかってきてはいた。未だにどちらの両親も何も知らないらしい。あの時、彼女は必死に気持ちを抑えていたのがわかる。見かけは子供っぽいが下手すると彼よりも実際は大人なのではないか。

「で?私どうなるの?」

亜紀の言葉に健は我に帰る。

「君は、この男のこと好きなのか?」

「え?え?私、、」

亜紀は修二をちらっと見る。男は下を向いている。

「私、私は、、。まあ、こいつだけだから、こんな悪い私にずっと付き合ってくれているのは。そりゃ、ちょっとは」

「じゃあ、君さ、俺の言う条件に同意してくれたら今後のこと考えてみるよ」

「条件ったって」

「じゃなきゃ、俺、詐欺で訴えちゃおうかな」

「そんな、大袈裟な」

「大袈裟じゃないよ。俺、茉莉とは正式に婚約していたから」

修二はビクッとなる。

「で、条件って?」

「君がこいつとすぐ結婚すること」

「えー!?こいつと?」

「そうしたら、俺は君の仕事、今のままにしておくよ。それとこういう事は2度とやらないこと。じゃなきゃ」

健は少し脅かすような声音になる。修二は顔色が悪くなる。



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