投稿

4月, 2023の投稿を表示しています

FGOのイベントが始まりました(^^)

 ついについにビースト実装です!!それになんとなく可愛いのがいいです! ユーザー待望の実装です。

ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」50

そうして娘が気を許し、目を離した隙に解錠された金庫の中を見るために、今度は娘が不在の時にオフィスを訪れればいいだけだった。それは簡単なことだった。足繁く通ううちに、娘が不在の時があることに気づき、その時間帯を狙って訪問し、彼女を待つふりをしながらオフィスで作業をすれば良かった。幸い受付係のいる席とオフィスは少し離れた場所にあった。間には応接室もあった。 金庫の問題がほぼ解決したと同時に理沙との関係はますますこじれていく。電話をしても繋がらないし、剛自身メッセージを残すもの気がひけた。今はこのまま放っておくしかないとはいえ、瑠璃とのキスシーンを見られたかもしれないのに、何で理沙は全く反応を示さないのだろうか。反応のなさが彼にとっては冷たさとして突き刺さってきていた。そして、 「彼女は俺に本当に気持ちがないのか」 という当たり前の感情が彼の中に起こり、それが起こったことに彼自身が戸惑っていた。今まで自身を冷たいと思っていた彼は、それ以上に「冷たい」と思われる、理沙の反応に驚いていた。彼女は表面は柔らかく優しげだが、内側には何処か違う何かを隠していた。 ただ、今はそんなことは言ってはいられない。それにかまってはいられなかった。 剛の恐怖や動揺はアメリカの同僚を通して夫人にすでに伝わっていた。夫人はそして、それでいいと考えていた。 事件の答えは彼の動揺の中に、動揺の奥底に眠っていた。

ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」49

 もちろん瑠璃とてひとりの女なのだから、剛に全く興味がないわけでもなかったが、彼女の動物的な勘がその男が別に本気なのではないと告げていた。生まれながらに財宝に囲まれて育った娘の、男に関する嗅覚はその点では優れていた。相手が財産に興味があるのかないのかということも分かっていた。ただ、彼女は、自身の心のことは恐らくあまり分かってはいなかったのかもしれない。 彼女が作品の説明を終えて、化粧室へ行ったその一瞬の隙をついて、剛は金庫の場所を探した。そして娘が机の上に置いたこのオフィスの鍵束のの中から金庫の鍵を捜し出し、金庫を解錠して置いた。金庫にある古い台帳が目的だった。金庫は誰の関心も引いていないようで、少し錆び付いていて、鍵がなかなか入らなかった。これで別の機会にいつでも中身を見ることができる。 その晩、剛は理沙からの電話を待った。さすがに普通なら、何か言ってくるだろうと思った。でも夜中の二時を過ぎても彼女からの連絡はなかった。彼はさすがに痺れを切らして自分から電話を手に取る。 「もしもし、俺だけど、寝てた?」 「起きてたけど、もう、寝ようかと」 「さっきのことだけど」 言われて理沙は口を閉ざす。沈黙の中に彼女の痛みが見え隠れしていたが 「別に、どうでもいいって、言ったよね」 という言葉が、すぐに真実を覆い隠す。 「寝るから、じゃ」 そう告げると彼女は彼に一瞬の隙も与えずに電話を切る。切られた電話の通信音を聞きながら、剛には、彼女のその硬さが自分のことのように感じられて、言いようのない激しい痛みを覚える。その硬さは、まるで何かを遮断するかのように彼女の表面に時々姿を現す。 そしてそれは彼の中にもあったために、彼はそれを感じ取ることができた。

ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」48

 そうしてその何かに動かされるように剛は瑠璃に接近していく。理沙はそれを見て見ぬふりをしているのか、それに対して一言も何も言わない。言い訳する気もなかったし、言い訳する余地もなかった彼は、理沙から連絡がないのを口実に、自分からも意図的に連絡しなかった。店に近づかなければ彼女と特別顔を会わせることもなかった。それに瑠璃は主に知人の経営する他の店のオフィスにいたから、彼はただそこへ足繁く通えばよかった。彼はそれに「演技」が上手だったから、瑠璃に信用されるようになるのに、そう時間はかからなかった。 彼女は彼女で自身の「女」を使って彼に高い商品を買わせようとしていた。二人の関係はまるで狐と狸の化かし合いだった。 雨がひとしきり降る週末、瑠璃のいるオフィスへ秘書からわざわざ使いを頼まれた理沙は、剛が娘に口づけしようとしているのを目撃する。理沙は見たことを二人に気づかれたくなくて、一度外へ出ると、今度はわざと大きな音を立ててドアから入ってくると「瑠璃さんいますかあ」と大声で娘を呼ぶ。理沙のその声にさすがに剛は彼女の顔を正面から見ることができず、背中を向けて作品を見ているふりをしなければならなかった。娘は書類を受け取ると目配せをして、理沙を追い払う。邪魔者だとわかると、理沙は何かを感じているのかいないのか、わからないような表情を一瞬浮かべる。それはまるで虐待の痛みのひどさに耐え続けて、いつかそれを感じなくなる子供のそれに似ていた。剛は、その、彼女のその一瞬の表情と、彼女の心の動きの、何ものも映し出さない瞳の空虚さと冷たさを見逃さなかった。 彼は、理沙の中にある、深い寒々とした淵と、どんなに手を尽くしても決して癒すことの出来そうにないひりつくような傷跡を感じた。それと同じものを彼自身の内側に感じた。感じると同時に理沙を強く抱きしめたい衝動が起こり、手が痙攣していた。 「失礼します」 感情を込めずに一言。理沙はその場を立ち去った。 瑠璃はせいせいしたというそぶりを見せ、また先程の作品の説明に戻る。剛はもう娘の体に触れる気もなかったし、娘は娘で彼を客としてしか見ていなかったため、先程の出来事はただのちょっとしたサービスにすぎなかった。後は作品が売れさえすれば今度のパーティーでまた彼女は花形になれるのだった。

ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」47

確かに瑠璃は真紅のイヴニングを身に纏っていて、華やかで非常に人目を引いていたため、多くの男達が芳醇な蜜に群がる蝶のごとく吸い寄せられていた。その中に剛が混ざっていたとしても何ら不思議ではなかった。そのため彼の演技はカモフラージュされ、ごくごく自然なものとして周囲には見えていた。 彼のその様子を理沙は見逃さなかった。彼女の視線を彼は背中で痛いほど感じていた。それでも「情報」を得るためには手段を選んではいられないと彼は演技を続け、ひたすら自分の本心を隠そうとする。その必死さが逆に瑠璃に気に入られようと躍起になっている男のそれとして、周囲の目には映った。 剛と瑠璃の僅かな接近にすでに嫌気が差していた理沙は深く傷つき、赤いワインの入ったグラスを持つ指先が微かに震えていた。震えていたがそれをひたすら押し隠して、押し殺して、パーティーが終わり客が帰ってしまうまでぎこちない笑顔を保っていた。 彼女は、剛が瑠璃と早く二人きりになりたがっているそぶりを敏感に感じ取り、まるで隠れるように身支度を整えると、彼が理沙を気にし始めた時にはもう会場にはいなかった。彼女がいなくなり、彼女に誤解されたことを感じると、彼は彼女に特別な感情を抱いていることをはっきりと意識し始める。意識し始めるが、こじれるのは分かっているが、それでも調査をやめることは出来ない。彼にはもちろん義務もあったが、何があっても調査をやめさせない何かが彼の中で蠢いていた。蠢くものは、彼の中で、知りたいという強烈な欲望に突き動かされると同時に、途轍もない恐怖と戦っていた。 彼には分からなかった。何故、恐怖なのか。 夫人の言葉を思い出す。 「あなたにしか出来ない。真実にたどり着くことが出来るのはあなただけ、、」