ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」47
確かに瑠璃は真紅のイヴニングを身に纏っていて、華やかで非常に人目を引いていたため、多くの男達が芳醇な蜜に群がる蝶のごとく吸い寄せられていた。その中に剛が混ざっていたとしても何ら不思議ではなかった。そのため彼の演技はカモフラージュされ、ごくごく自然なものとして周囲には見えていた。
彼のその様子を理沙は見逃さなかった。彼女の視線を彼は背中で痛いほど感じていた。それでも「情報」を得るためには手段を選んではいられないと彼は演技を続け、ひたすら自分の本心を隠そうとする。その必死さが逆に瑠璃に気に入られようと躍起になっている男のそれとして、周囲の目には映った。
剛と瑠璃の僅かな接近にすでに嫌気が差していた理沙は深く傷つき、赤いワインの入ったグラスを持つ指先が微かに震えていた。震えていたがそれをひたすら押し隠して、押し殺して、パーティーが終わり客が帰ってしまうまでぎこちない笑顔を保っていた。
彼女は、剛が瑠璃と早く二人きりになりたがっているそぶりを敏感に感じ取り、まるで隠れるように身支度を整えると、彼が理沙を気にし始めた時にはもう会場にはいなかった。彼女がいなくなり、彼女に誤解されたことを感じると、彼は彼女に特別な感情を抱いていることをはっきりと意識し始める。意識し始めるが、こじれるのは分かっているが、それでも調査をやめることは出来ない。彼にはもちろん義務もあったが、何があっても調査をやめさせない何かが彼の中で蠢いていた。蠢くものは、彼の中で、知りたいという強烈な欲望に突き動かされると同時に、途轍もない恐怖と戦っていた。
彼には分からなかった。何故、恐怖なのか。
夫人の言葉を思い出す。
「あなたにしか出来ない。真実にたどり着くことが出来るのはあなただけ、、」
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