ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」42

 たとえ商売上の理由からであっても、幸い相手もまんざらではなさそうである。理沙がその場にいても、彼女にも他に男がいるかもしれないと勘違いしている剛は、それを言い訳にしながら彼女に対して後ろめたさを感じずにいられた。剛が資産家であると思い込んでいる理沙は、所詮縁の無い人間かも知れないと、瑠璃と剛の接近に、どこかで冷めた目を向けていた。ただ、自分の目の前でそれをやられると流石に腹が立ってきた。理沙は二人を見ないようにとなるべく背を向けていた。

そんな剛と瑠璃から少し離れた場所で、なんとなく欧米の色に染まった年配の女性が社員と話していた。

「これはこれは亜由美先生、お加減はいかがですか?先週はおいでいただけなかったので」

「ちょっと体の調子がすぐれなかったの」

「そうお聞きしています」

「それはそうと、あそこにいる、、、あの、瑠璃さんの隣の方は?」

「先生は、お目が利きますねえ、、」

「いえ、瑠璃さんがあんなに親しそうなので、また、新しい恋人かと」

「いえいえ、、、彼は、ブレイク氏の紹介で、出入りするようになったんですよ、、。野上さんといって」

「野上、、?」

亜由美の顔は緊張した面持ちになった。

「えっと、あの、どうかされましたか?」

亜由美の表情は相手にそれとわかるほど強張っている。急に、過去の、惨めで陰惨な生活の現実と秘密が重くのしかかってくる。

「、、、先生?先生、、」

「あ、ええ、すみません。ちょっと、気分が」

「まだ、本調子じゃないのでしょう、、、あちらでお休みになられますか?」

「ええ、、」

亜由美の視線は剛に釘付けになっているので、それに気付いた社員は付け加える。

「あの、よろしかったらご紹介しましょうか?瑠璃さんもいることですし」

「いえ、今はやめとくわ。ちょっと、作品のインスピレーションモデルにでもと考えたの」

「ああ、人物を元にした造形ですか?これは、これは、おめずらしい。先生のおめがねにかなったんですね?彼は」

「まだ、そこまでは、、、でも、今日はいいわ。疲れてるから」

亜由美は慌ててはぐらかす。

「かしこまりました」

モデルのことを話してから、亜由美はしまった、と思った。まさか、自分の事が、相手にバレるのではないかと思うと、早々にその場を離れる。

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