ろまんくらぶ「仮面の天使」98
マンションは冷え切っていたので健は暖房のスイッチを入れる。コートを脱ぎ、居間の灯りを点ける。今夜は寝室で眠れる気がしない。茉莉が帰ってくるまで、不安と心配でどうにもならないだろう。居間の床に客用の布団を敷くと、テーブルを端に片付け、テレビが見えるようにする。少しぼんやりと布団の上に座っていたが、気を取り直し、シャワーを浴びにバスルームへ向かう。薄いブルーのタオルとブルーのパジャマを準備するとバスルームへ入る。
「どうしたらいいんだろう」
シャンプーを泡立てながら、ついつい手が留守になる。ボディーソープをスポンジで泡立て、強めのシャワーを浴びれば気分がさっぱりするのではないか という期待は裏切られる。不安と苛立ちが神経をピリピリとさせる。キュッと蛇口を閉め、大きなため息を吐くと彼はバスルームを出る。タオルで体を素早く拭き、トランクスをはき、パジャマを身につけると台所へ向かう。
神経を緩ませようとナイトキャップを準備してトレイに乗せ、居間へ運ぶ。どうも眠れる気はしないけれど、少しでも休まないと体にひびいてくる。
部屋の灯りを落とし、彼は独りテレビの前で寝酒を口にする。目の前に流れる画像をただぼんやりと眺めていた。
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