投稿

こんにちは

今日はまた不安定なお天気ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 ここで多少言い訳です。 私の英語は独学の面も多いため、Brokenですので悪しからず。 ただし、今後も学習を続けていこうと思っておりますので よろしくご理解のほどお願い申し上げます。 

ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」15

「先生も本日はお越し下さいまして、いつもいつもありがとうございます」 「いやなに、今日も盛況だね」 「おかげさまで、彼の作品は人気なんですよ」 「確かに、、、どこか繊細で硬質な、フィルムでしっかりと覆っているようにかっちりとしている。そして色ガラスのような色彩」 「そこまで、おっしゃっていただけますと」 華やかというには言葉が足りない、どこかギラギラとした抑えられた情念の織り込まれた、繊細というより神経がひりつくようなその世界の中に、剛は滑り込んでいった。 「Hello! How are you?」 「Oh! Hello, Mr. Break, I'm fine, and you?」 「I'm fine...It's great success!」 「And, how about your business?」 「Don't talk about it now, but...Hey, Eriko, I'd like to introduce to you Mr.Takeshi Nogami. He's son of the president of Harris Corporation. He comes to Japan for research of Japanese economy.」 剛は夫人から紹介されたブレイク氏を探して近づき、挨拶を交わし、それから聖域の住人に向き合う。 「初めまして野上です。現在ハリス・コーポレーションの重役をしております」 「初めまして、周防恵里子です。それは素晴らしいですわね。日本は初めてですか?」 「いえ、何回か」 「失礼ですが、こちらでお生まれですか?」 「いえ、アメリカで生まれ育っております。父は日系二世ですから」 父は存在するのだろうか、、。 「でも、ハリス社なんて素晴らしいですね」 「少々、日本の状況を見にきたんですよ。支店を出そうかどうか検討中です」 「それは、また、要するにお仕事ですね」 「そうです。遊んでもいられませんよ」 「ブレイク氏とは長いお知り合いで?」 「ええ、ハリス社の代表が祖父母の代から付き合いがあって、とても懇意にしてまして、今回色々とお世話になりそうで」 そう聞くと、周防の目がはっきりと相手を値踏みするように鋭く光る。 「美術品は、お好きですか?」 「...

ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」14

 夫人は剛が日本で不自由しないように、あらゆる手配をしてあった。特に、調査対象となっている美術商の周辺には容易に近づけるように計らってあった。かつて第二次大戦の時、まだ貧しさの中にいた幼子であった夫人には不可能なことだった。あの時の屈辱をはらそうと躍起になっているわけではなかった。ただ、歴史的な現実を認めることのない高慢な人々に、それを認めさせたかっただけだった。そして何よりも夫人の父にとって最愛の先祖が必死で守ってきた、その作品を返して欲しいだけだった。 夫人はアメリカ政府高官にも裏から手を回しておいた。その高官でさえ剛の本当の身分は知らされていなかった。高官は、剛のことを夫人の身内で、日本には夫人の経営する会社の支社を作ろうかどうかを検討する目的で来日したと思い込んでいた。つまり富豪の子息であるという仮の身分の下に、調査会社の職員であるという本当の身分が隠されていた。 さらに、その仮面の奥のもっと深いところでは、特定できないある欲求に動かされている別の「自分」が隠れていた。人格は、めくってもめくっても芯が見えない、まるで玉葱のようになっているものだった。剛は、もしかしてめくりそびれて崩れてしまう領域に踏み込んでいるのを、まだこの時は知らなかった。ただ、いい知れない恐怖が徐々に内心に広がってきていた。恐怖は、まるで水滴のように、少しずつ剛の魂を侵していく。 その週の金曜日、調査はすでに始まっていた。美術商は古美術だけでなく、現代作家の作品も展示していた。

ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」13

入り組んでせせこましい東京の街中のどこにこんなものを作る余裕があったのかと。家賃のことを運転手に尋ねると、この位で70万円でしょうかと、平然と答える。 「Fuck, It's crazy!」 それと聞いて思わずそう叫んでしまった。以前にパリで同様なところを借りた時には12〜13万円だった。アメリカで、まだ住宅を買う前に借りていたマンションも狭くはなかったが、そんな値段はしなかった。 「信じられない!なんで、そんなに払えるんだ!」 そう繰り返す剛に、運転手は苦笑する。 「ニューヨークの最高級マンションだって家賃は100万円は下らないでしょう?」 「まあ、最高のやつは」 「日本も、、、そういう国ですから」 剛が突っ込む。 「貧富の差が激しいんだろう?ガキを育てる金がなくてトイレで出産して、へそのおが着いたまま置き去りにする女がいるかと思えば、プロダクションとの契約金に5億を要求する女もいる」 運転手は頷く。 「見かけはそうは見えませんが、実際には何もかも許され、何をしても咎められず、有り余る程の金品を持った一握りの人々と、明日食べるものもない人々と、誤魔化しのように存在する家一軒持てない「中流」と呼ばれている貧しい人々と、そして、貧しくはないのですが、欧米人の10倍もの労働を強いられている才能のある人々、、。それに、一握りの大金持ちは、ほとんど仕事はしていません。どうやってズルをするかが彼等の課題ですから。それにシェルターも持っていますから戦争も平気です」 「そうだな。そういうのは何処にでもいる」 「あなたが調べるのは、そういう一握りですよ、、。つまり聖域の住人」 告げられて、剛は夫人の一言一言を思い返す。 「極秘ですよ。犯罪組織を相手にするわけではないのです。でも、通常の方法で彼等の動向を理解することはなかなか出来ない。でも、私は通常の方法から始めたい」 「地道な調査ですか?」 「そうです」 運転手が去り、そのだだっ広いマンションにひとりきりになった時、言いようのない疲れが襲ってきた。前に数回日本に来た時には感じたことのなかった特種なもので、一体それが何を意味するのかわからなかった。同時に心の何処かで、まるで長い呪縛から解き放たれたかのように、ほっとする自分がいる。 「あなたの探しているものがきっと見つかる」 そう言っていた夫人の声が微かに響いたように思われた...

ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」12

 同様に、日本の喫茶店に入ることができずに、アメリカンカフェを探し求めるアメリカ人もいる。関係のある人物が誰もいない国で、現地の家族が集う現地のレストランで、たったひとりで酒を飲まなければならないこと程、辛いことはないだろう。それよりも、長い滞在からくる疲労から逃れるために、一瞬でも自国にいるような錯覚を味わわせてくれる場所が居心地がいい時がある。 その日、自分と同じでありながら、自分と違う言葉を話す人だけに取り囲まれ、アメリカとはしかしながら違う印象のチェーン店に入りながら、剛はただひとりだけで、その場にいた。同じ文法、違う発音。剛の日本語は、どこかで他者とは違っていた。それは「ポテト」を発音する時に際立った。 出てきたチーズバーガーの包みを見た時、ここは日本だとさらにはっきりと思い知らされた。 「肉が薄くて小さい」 それだけのことだった。そんな些細なことにも苛つく自分に彼は苦笑した。 「コーヒーも分量が少ない」 くだらないことのように思われた。 レストランから剛が出てきた時、その表情は決して明るくはなかった。この先の調査を考えると多少緊張はあったし、さらに食事に対する不安が急に頭をもたげてきた。そう感じながら、どこかで、仕方ないと突き放していた。 「車がもう一台はいる」 「というと?」 「ベンツは目立つから」 「それは、、、アメリカでは何にお乗りで?」 「トヨタ」 「スポーツカーというわけではないのですか?」 「トヨタは音がしないから、調査には便利だ。目立つ車はそういう目的がある時にしか使わない。音が大きい車もだ。ベンツは、もちろん夜の豪奢な街では目立たないが」 「よくご存知で」 「まあ、情報は仕入れた」 「トヨタをご準備いたしましょう」 「そうしてくれると助かる。俺専用に。美術商に出入りしたりする時は、ベンツを使うので、その時は頼む」 「かしこまりました」 そして、指定されたマンションに着いた時、剛は驚いた。

ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」11

「あなたは、何か食べますか?」 「家、私は、先ほど食事を済ませてきたので、、」 「そうですか、じゃあちょっと」 「ごゆっくり。ここで待っています」 車を降りると、剛は大股で駐車場を横切って行く。硝子貼りのドアを通り抜けた途端、その身長と相まってアメリカ人特有の、どこか大きくリラックした動きが人目を引いていた。どことなく通常の日本人とは見えないばかりか、その隠された任務が要求する緊張が伝わったせいなのか、店内で列を作っていた日本の人々は少し避けるような動きをする。 「俺が怖いんだろうな」 そう、思わず英語で呟く。 「いらっしゃいませ、チョイスはいかがですか?」 「かしこまりました。ご一緒にポテトはいかがですか?」 世界中で繰り返される似たような決まり文句。その一方で、逆にどこへ行こうとも食べられるというある種の安心感。外国で、孤独が極限状態にまで達した時、貧しさが襲ってきた時、例え様々な避難があろうとも、ただそのチェーン店だけがそこに待っていた。皮肉にも世界の貧しい人々が集まるところ。最悪飢えなくてすむところ。今どき500円でルパ・コンプレ、飲み物と、メインと、サイドディッシュが食べられるところはなかった。一日一食をそこで済ませる者がいて、また、余っているポテトをかき集めて持ち去るホームレスが出入りする姿も見受けられる。アメリカのそのシンボルは、世界に拡大しつつある南北対立の現れでもあった。それが世界中どこにでもあるから、皮肉にもある人々にとってアットホームだったりする。そして、産まれて以来、家庭らしい家庭を持ったことのない者にとって、ファストフードレストランが悲しいことにダイニングキッチンの役割を担っていた。 アメリカ人である剛は、だからこういった店を否定も肯定もしていなかった。それに景気の動向を測るのには便利だった。ファストフード店の値段を見れば、景気が良いのか悪いのかよく分かる。 そこが外国でも何処でもなく、ただファストフードの店内であるという、その奇妙な安心感を、剛は日本で初めて味わった。 

キングダム2

先日観に行ってきました。アニメはずっと観ていて、実写の「キングダム1」はインターネットで拝見しました。 「キングダム2」は「キングダム1」を超えてさらにダイナミックな映像になっていて、アクションシーンなど感動的な場面がありました。さらに原野を疾走する歩兵と騎馬隊の場面など 非常によくできていたと思います。演技も映像も1を超えている感じがしました。 特筆することがあるとすれば、羌かい役の清野奈名さんがとてもカッコ良くて、演技もアクションも凄くて感動しました。孤高の武人でしょうか。 「キングダム3」を現在製作しているようなので今後に期待しています。

ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」10

 街の音がそう告げていた。母親の、お腹の中でもそれは聞こえていた気がする。戦争の焼け跡、破壊された荒れた地に建てられた荒唐無稽なビル群の、でこぼこにあらゆる音が反響しながら発する、野蛮で、堅さと柔らかさと、全ての立体を内包した、音階もハーモニーもないアバンギャルドな雑音。ヨーロッパの、保護された街の規則正しい建築と都市計画、コントロールされた建物の高さが創り出す交響曲とはまるで違う。パリでは街を通り抜ける空気がドビュッシーのシンフォニーとなる。 そう、夢想に沈んでいた剛の目の前に、突然アメリカの象徴が現れる。 「停めてくれ」 「はい?」 「ちょっと食事がしたい」 「機内ではお召し上がりにならなかったので?」 そう滑らかに英語で話すこの運転手は、どこか奇妙な印象を最初から与えていた。日本語に切り替えながら剛は、 「あなたは夫人とはどんな関係で?」 運転手はいずれそう聞かれるものと思っていたのか 「夫人のお父様には、、、アメリカで随分助けていただきました」 そう言いながら、何かを思い出しているようだった。彼の眉間には時折深い皺が刻まれる。 「私は、、、収容所を免れたんですよ。日本人であるにも関わらず」 あの当時、戦争が激しくなるにつれ、アメリカの敵国の民となった日本人は、誰彼構わず収容所に入れられた。ひとたび戦争が起これば、誰もそれを免れることはできない。 「私は、、、夫人のお父様の計らいで、それを免れたのです」 ファストフード店の駐車場で、ふたりはしばらく黙っていた。 「私のことは、何を聞いている?」 剛の問いかけに彼は答える。 「あなたが夫人の頼みで来日していることは知っています。ある人々の調査のためとか」 「私の身分は?」 「聞いているのは、あなたがアメリカの、夫人の経営する大企業に関係する人間で、かなりの資産家だということです」 「そうか、、」 「私は、余計なことを夫人に聞いたりはしません」 運転手のその言葉を、剛は半信半疑で聞いていた。外は初秋の冷たい風が吹いていて、時々上空を飛ぶ飛行機のジェット音が風の音と混ざりあっていた。木々のざわめきがそして遠くから微かに聞こえる。灰色の駐車場には黒いベンツが重々しく不吉な影を落としていた。

ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」9

幼い頃から、どこか冷たい世界に慣れていたせいで、セックスフレンドがいれば、それで十分だと剛は考えていた。恋愛に縁が全くなかったかというとそういう訳でもなかったが、職業上関係が煩わしくなるような状況が頻発し、長くは続かなかった。そして、自分が本当の意味で、誰も愛せないのではないかと、いつもどこかで考えていた。 「俺は冷たい人間だから」 それが、ある種の言い訳でもあり、決まり文句でもあった。いつも、他の人間との間に、上手く言い表すことの出来ない距離を感じ、それが、ますます彼をある意味で孤独にさせていた。しかし、孤独との付き合いもこう長くなると、それにも慣れてしまっていた。自分の中にある、他人との間に生じる隔たりを他の誰が感じえるのだろうと、それを理解できる人間に出会うことはないだろうと、疲れた時には、変にロマンチシズムに沈むこともないわけではなかった。その感傷を、仕事の厳しさで打ち消していた。  到着し、空港の風景が遠ざかるにつれ、自分が今どこにいるのかが一瞬つかめなくなる。無国籍な空港そのものとは別に、かってある国ではゾーンと呼ばれた空間が、まるでハンで押したかのようにどの国にも空港周辺に広がっている。ちょうど、都市がはっきりとその国の姿を、あるいは広告の文字などによってその印を取り始めるまでの場所で、それはどこか人気がなく、太い道路の脇には、いつ刈り込まれたのかわからない低木の群れが、騒音防止のために不規則に並んでいる。それがもちろん民家を覆い隠しているせいなのか、自分が通っている道と外界には恐ろしい程の隔たりがある。 そして、その道は、その国へと入るための長いトンネルを思わせる。 しかし、都市に入った瞬間に、確かに何かが違う。それは光と空気とでもいうようなものだろうか、空気の粒子の中に漂う、反射しているそれぞれの都市の人間の、まるで生命の色とでも言うべきか。そして、東京のその色を感じた途端、剛はある衝撃を受けた。 「ここは、俺がこの世界に降りた場所だ」

ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」8

 「もちろん、必要な資金援助は私が全ていたします。それらは資料の最後に明記されています。あなたの上司も承知してくださっています」 「分かりました」 「でも、どうしても誰かの助けが必要な時には、私に相談して下さい。状況を見て、あなたの上司とも相談の上、配慮したいと思います」 「承知しました」 「あなたの身分は、いずれにしても完全に極秘で、日本での身分は、私の身内ということで保証されています。向こうに到着した時から、全ては手配済みになっているでしょう」 その、夫人との面会から1ヶ月が経ち、剛が航空機から成田空港に降り立った時、すでに迎えの車が待機していた。夫人が、もちろんその運転手にも剛の身分は明かさずに、空港から住居まで案内するように手配してあっただけのことのように最初は見えた。 それに加え、日本への渡航が剛にとって初めてではなかったことが、調査を当初は容易いものに見せていた。もともと、日本・アメリカ間の事件や案件を調査する部署に配属されていたため、事前にある程度の調査とシミュレーションはしてあった。主な建造物がどこにあるか、あるいは道路の状況などは、航空写真を含め、あらゆる資料を研究し、把握済みだった。 問題があるとすれば、身体的なことだった。スポーツなどは、適当にクラブを利用すればいいとしても、滞在が長期に渡れば、精神衛生上、全く異性なしという訳にもいかなかった。ただし、病気の危険性もあったのと、任務が極秘という性質上、迂闊に女性に近づく訳にもいかなかった。かといって、本国から連れて来れば足手まといになるだけで、誰か適当な相手を日本で見つけるしか今のところ方法がなかった。食欲同様、性欲を満たすことは、身体と精神を健全に保つためには不可欠だと剛は思っていた。ただし 「恋人は必要ない」 それが、彼のある種のポリシーだった。