ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」12

 同様に、日本の喫茶店に入ることができずに、アメリカンカフェを探し求めるアメリカ人もいる。関係のある人物が誰もいない国で、現地の家族が集う現地のレストランで、たったひとりで酒を飲まなければならないこと程、辛いことはないだろう。それよりも、長い滞在からくる疲労から逃れるために、一瞬でも自国にいるような錯覚を味わわせてくれる場所が居心地がいい時がある。

その日、自分と同じでありながら、自分と違う言葉を話す人だけに取り囲まれ、アメリカとはしかしながら違う印象のチェーン店に入りながら、剛はただひとりだけで、その場にいた。同じ文法、違う発音。剛の日本語は、どこかで他者とは違っていた。それは「ポテト」を発音する時に際立った。

出てきたチーズバーガーの包みを見た時、ここは日本だとさらにはっきりと思い知らされた。

「肉が薄くて小さい」

それだけのことだった。そんな些細なことにも苛つく自分に彼は苦笑した。

「コーヒーも分量が少ない」

くだらないことのように思われた。

レストランから剛が出てきた時、その表情は決して明るくはなかった。この先の調査を考えると多少緊張はあったし、さらに食事に対する不安が急に頭をもたげてきた。そう感じながら、どこかで、仕方ないと突き放していた。

「車がもう一台はいる」

「というと?」

「ベンツは目立つから」

「それは、、、アメリカでは何にお乗りで?」

「トヨタ」

「スポーツカーというわけではないのですか?」

「トヨタは音がしないから、調査には便利だ。目立つ車はそういう目的がある時にしか使わない。音が大きい車もだ。ベンツは、もちろん夜の豪奢な街では目立たないが」

「よくご存知で」

「まあ、情報は仕入れた」

「トヨタをご準備いたしましょう」

「そうしてくれると助かる。俺専用に。美術商に出入りしたりする時は、ベンツを使うので、その時は頼む」

「かしこまりました」

そして、指定されたマンションに着いた時、剛は驚いた。

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