ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」8

 「もちろん、必要な資金援助は私が全ていたします。それらは資料の最後に明記されています。あなたの上司も承知してくださっています」

「分かりました」

「でも、どうしても誰かの助けが必要な時には、私に相談して下さい。状況を見て、あなたの上司とも相談の上、配慮したいと思います」

「承知しました」

「あなたの身分は、いずれにしても完全に極秘で、日本での身分は、私の身内ということで保証されています。向こうに到着した時から、全ては手配済みになっているでしょう」


その、夫人との面会から1ヶ月が経ち、剛が航空機から成田空港に降り立った時、すでに迎えの車が待機していた。夫人が、もちろんその運転手にも剛の身分は明かさずに、空港から住居まで案内するように手配してあっただけのことのように最初は見えた。

それに加え、日本への渡航が剛にとって初めてではなかったことが、調査を当初は容易いものに見せていた。もともと、日本・アメリカ間の事件や案件を調査する部署に配属されていたため、事前にある程度の調査とシミュレーションはしてあった。主な建造物がどこにあるか、あるいは道路の状況などは、航空写真を含め、あらゆる資料を研究し、把握済みだった。

問題があるとすれば、身体的なことだった。スポーツなどは、適当にクラブを利用すればいいとしても、滞在が長期に渡れば、精神衛生上、全く異性なしという訳にもいかなかった。ただし、病気の危険性もあったのと、任務が極秘という性質上、迂闊に女性に近づく訳にもいかなかった。かといって、本国から連れて来れば足手まといになるだけで、誰か適当な相手を日本で見つけるしか今のところ方法がなかった。食欲同様、性欲を満たすことは、身体と精神を健全に保つためには不可欠だと剛は思っていた。ただし

「恋人は必要ない」

それが、彼のある種のポリシーだった。


コメント

このブログの人気の投稿

ろまんくらぶ「仮面の天使」81

ろまんくらぶ「仮面の天使」78

ろまんくらぶ「仮面の天使」83