ろまんくらぶ「仮面の天使」85
そんな浮かれた健の気分は長くは続かないだろうなあと空で天使が難しい顔をしている。この際だから茉莉の心の痛みを彼にもしばらく味わってもらおうと杖をいじくる。
夜の闇が落ちかかってくる頃、茉莉達は渋谷に着いた。メトロで30分だから大学からそう遠くはない。渋谷に着くと百貨店の会員制のドレッシングルームへ足を運ぶ。いつものようにそれぞれ一層派手なドレスに着替えると、お化粧を念入りに直し始める。
「ねえねえ、見て、これ新色」
「いいじゃん。ケバい。ついでにラメもつけたら?」
「オッケー。ラメもいっちゃえ」
友人の1人はラメ入りの頬紅を軽くはたく。キラキラ感が彼女達の夜を楽しいものにする。
「じゃ、完了」
「ばっちしだね」
「そんではまずご飯行こう」
「うん。お腹ぺこぺこ」
教授からのお小遣いが残っている茉莉のお財布はまだあったかかったから、今夜はふたりにおごっちゃえと彼女は張り切る。
「らっしゃいませー、まいど」
行きつけの中国料理店に茉莉と友人達は勢い良く入って行く。
「生みっつ」
「はいよ」
3人はまず景気づけにビールを頼む。
「カンパーイ」
「チアーズ」
「イエイ」
ごくごくと勢いよく黄金色の液体を流し込む。
「うんまーい」
「ほんとほんと」
「最高だね、やっぱ」
「ご注文はお決まりで」
店員がやってくる。
「まずこれこれ。前菜三種盛り、え〜っとそれから小龍包6つ」
「6つ入りね」
「そうそう」
「いっぱい食べたい」
「それから焼き餃子6つ入り」
「えーっと、それから海鮮炒めでしょ、それから」
「野菜もとろうよ、これは?」
「空芯菜炒め、いいかも」
「それと牛肉と筍のこれ」
「あとピータンも」
「とりあえず以上で」
「かしこまりました」
沢山注文して3人は満足そうだった。ビールもちょっと回ってきて気分は上々だった。
ふと茉莉は健は今頃、まだ仕事だろうなあと思い、怒った自分の気持ちを打ち消すように頭を震わせる。
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