ろまんくらぶ「仮面の天使」87

だいたい教授のことを自分がどう思っているのか茉莉は実際よくわからなかった。甘えたり、お小遣いをもらったり、色々と相談にのってもらったり、、。そんなに深くない関係で、2人がずっと一緒にいることもなかった。こういう関係をなんて言うんだろうなあ、と茉莉はぼんやりと考える。

「ねえねえ、茉莉ったら」

「何だかぼうっとしてるね」

「あ、ごめんごめん、ちょっとね」

「悩み事?」

「ううん、そんなんじゃないの」

「なら良かった。まさか勉強疲れとか?」

「まっさかあ」

茉莉が友人達ときゃらきゃらご飯を食べている頃、彼女が待っているのではないかと、健は足取りも軽くマンションの扉を開く。

「茉莉、ま〜りちゃん」

ちょっとふざけた口調で彼女のことを呼ぶ。マンションは静まりかえっていて物音ひとつしない。

「まさか、寝てるのかな?」

彼はあんまり足音を立てないように廊下を歩いて彼女の部屋へ行く。嬉しそうにドアを開けるけれど、彼女の姿がないので、がっかりする。どうやら彼女はまだ帰っていないようだと彼は悟る。

「ま、いっか。きっともうすぐ玄関の音がするだろうから」

鞄を居間に放り出すと、さっと着替えて、早速彼は調理にかかる。茉莉が帰ってきてから揚げればいいけれど、下ごしらえはしておこうと、キッチンでゴソゴソ始める。

まず揚げ物を準備しようと、ステンレスのバットにパン粉を広げる。それから小麦粉と溶き卵を準備すると、買ってきた豚肉をまな板の上に乗せる。少し叩いて塩胡椒をすると、小麦粉をはたき卵に潜らせる。パン粉を丁寧につけるとバットに並べ冷蔵庫にねかせる。それからキャベツを刻み、トマトを添え、にんじんを散らす。味噌汁も作ろうとワカメを水につけ、豆腐とネギも切っておく。作り立てが美味しいだろうと材料をバットに並べこれにもラップをかける。あとはお漬物を切って小皿に盛り付ける。

「さてっと」

気づくと時刻は8時近くになっている。

「遅いなあ」

健はだんだん心配になってくる。

時計の音がコチコチ響いてそれが耳につき始める。

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