ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」19

 それから剛はその場を離れ、招待客をさらに観察することにした。状況から見れば、まず作家、そしてもちろん批評家、愛好家達、政治家、財界人、ビジネスマン、などありとあらゆる層から特別に選ばれた人々が招待されているらしい。あとは接客している従業員と、常に直立している補佐的な従業員たち。彼等は常に腕を前方で組んでいた。

そのため、従業員の顔と表情を区別し、理解し、記憶するのは容易いことだった。パーティーの2時間の間、誰がなんという人物なのか、名前と顔を一致させることに努めた。さらに各々の従業員の役割と関係に注意する必要があった。その中の誰が、あの35年前の事件に関わっているのか。

「35年?」

35歳の剛は、その時、この「35」が自分の年齢と同じであると、初めて何かの意味を持って認識した。

「35、ただの偶然だろうか、、?」

その35の年月が急に何か重要な意味を持って彼に重くのしかかってきた。長い間、特に考えたこともなかった。自分の年齢が何故、急激に自分の中で主張し始めたのか。それを意識した途端に、まるで時限爆弾が爆発した時のように、一瞬頭の中で強烈な光が走った。光の向こうに手を伸ばそうとすると、同時に恐怖が襲ってくる。恐怖は原始的で、理性など木っ端微塵になりそうだった。

「大丈夫ですか?何かお飲み物でも、、」

先程の通訳の女性、宇津木理沙が仕事を一通り終えたのか、いつの間にか側に立っていた。

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