ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」16

 「彼女はここのひとり娘だよ、後継者だ。紹介しようか?」

ブレイク氏にそう促されて、彼女に二人で近づいて行く。しかし、周辺には大勢の取り巻きがいて、話しかけるのも容易ではない。彼女がブレイク氏に気づいて近づいて来る。そのたっぷりとした上半身をダイエットでもしているのか細すぎる脚が支えている。

「Oh, Mr.Break, How are you?」

「Fine, and you?」

「I'm fine, thank you...」

笑いながら相手を見ているのか見ていないのかよくわからないような虚ろな視線を剛へ向ける。

「こちらの方は?」

「彼はハリス者の代表の親戚で、野上剛さんと言います」

「初めまして、野上です」

「初めまして、周防瑠璃です。日本へはお仕事で?」

「ええ、まあ、半年位の予定ですが」

「いいですねえ、アメリカは素敵なところですね」

「いちがいにそうとも言えませんが」

「色々とご苦労がおありで?」

「まあ、私はアメリカ生まれのアメリカ育ちですから、それほどは」

「それでは、ご安心ですね」

「野上さんには、その内にうちのパーティーに来てもらおうかしら」

「その前に私の家へ、皆さんをお招きしましょう。剛くんと瑠璃さんと」

「それは素敵ですわ、、、ぜひ」

その時、ちょうど取り巻きの一人がかなり大きな声で彼女を呼ぶ。

「わかってるわ。今行くから。ごめんなさいね。今日は、ゆっくりとお話もできなくて」

「いえいえ、あなたは今夜の主役のお一人ですから」

「すみません。今夜は、ぜひ、楽しんでらしてね」

「Hi! Mr.Break, How are you?」

「Excuse me」

知人に呼ばれたブレイク氏も周防瑠璃と共に遠ざかると、剛は周防恵里子の後ろ姿を一瞥する。

「夜の蝶に毒の華か、、」

その二人の姿を見ても、人いきれがする華麗なパーティー会場にいても、剛はものおじすることもなく、冷静な視線を投げかけていた。こういう場所はアメリカで既に慣れっこになっていた。

そして、ぐるりと辺りを見回す。


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