ろまんくらぶ「仮面の天使」72
テレビの音でどうやら健が居間にいるらしいのが分かると、茉莉はバリケードにしてあった椅子をドアからどかす。足音を立てないようにこっそりと部屋から出ると、ちょっとトイレに向かう。化粧室は居間から離れていたので好都合だった。
彼女はそっとトイレをすませると、廊下を通って、居間の様子をうかがう。キッチンと居間の間の大きなスライドドアが閉まっているのを確認すると、キッチンに忍び込む。お腹がすくといけないと、ポテトチップスとミニチョコレートケーキのパックとサイダーを調達する。こっそりとキッチンを出ると、食料を抱え、忍び足で自分の部屋へと戻る。
テレビを見ていた健は大きなため息を吐く。茉莉の気配に気づかないとでも彼女は思っていたのだろうか。微かな物音に彼は彼女が口もききたくないのを意識する。がっかりするよりも、これからどうしたらいいのか先が思いやられる。彼女は籠城でもするつもりなのだろうか。もし一緒に寝たくないのなら、寝具を一式出しておかなければならない。居間から出ると健は寝室へ行き、客用の寝具を引っ張り出す。それを居間へ持って行き、ソファの前に広げると、その上にごろんと横になる。なんだかこれから大変だなあと気弱になってくる。
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