ろまんくらぶ「仮面の天使」63
マンションへ着くと健と真二は管理人室へ立ち寄る。
「お引っ越しの方で?」
「はい。そうです。明後日位に荷造りにきますから」
「夜までかかると思いますけれど、大丈夫でしょうか」
「そうですね。10時以降は近隣に迷惑なのでやめていただければ。その前位までなら大丈夫ですよ。教授にはくれぐれもよろしくと頼まれていますから」
管理人に挨拶を済ませると2人は茉莉のマンションの部屋の中を見る。家具は残すと教授に言ってある。とにかく彼女の身の回りのものだけ運べればいいのだった。凄いマンションで、確かに豪華だが、中には飾りっけが全くない。綺麗に掃除してあっても、まるで人工的なピカピカの冷たい牢獄に見える。茉莉の空虚感が目に見えるようだった。2人が思いに耽っているところへ電話が鳴る。教授からだった。
「そろそろいる頃だと思って」
「さっき着いたところです」
「いや、その、ブランド物の服とか色々あるかと」
「はい。これは残していきます」
「いや、それらも持っていってくれ。じゃなきゃ、捨てて欲しい。私も辛くて、見たくないから。これでも」
「何です?」
「これでも私は、こんな状況だったけれど、茉莉ちゃんが好きだったから。あんな可愛い娘はいないから。それが私のせいでこんなことになってしまって」
「わかりました。そうします」
「申し訳ない。ホントに」
真二は電話を切る。結局、この教授も姉を愛していたんだなと、少し感慨に耽る。姉が荒れたのはそれに何も教授のせいじゃない。
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