ろまんくらぶ「仮面の天使」59

 寝室では茉莉がごそごそと着替える音がして、しばらくすると彼女が出てくる。

「あの、化粧したいんだけど」

「しなくていい。病院着いたらすぐ検査だから。顔だけ洗って」

真二は姉に指示する。

「はい」

意外にも彼女は素直だった。とぼとぼと洗面所へ向かう。何だか大人しい。真二はまるで親のような口をきく。

「今の内に病院へすぐ連れてくから。途中まで一緒に着いてきて。何があるかわからないから」

健にも指示する。

「分かった」

支度をすると健は戸締りをする。日曜日だから仕事のことは考えなくてもよかった。しばらくすると茉莉はまたとぼとぼと洗面所から出てくる。

「あの、お腹空いた」

「まず検査するから。そしたらご飯出るので」

「はい」

茉莉は健を見ない。彼はしょんぼりするが、とにかくそれよりも彼女の容体が心配だった。真二は少しほっとする。姉が暴れないので安心する。健は後ろから2人について行く。真二は車を健に運転させ、後部座席に茉莉と2人で乗る。彼女の体をしっかりとおさえておく。彼女は終始静かで車は無事に病院へ着く。入口で看護師が待っている。

「早くこちらへ」

「ごめんなさい」

看護師に促されて茉莉もやっと事の重大さに気づく。茉莉を病院へ入れると、真二は健のところへ戻ってくる。

「少し待てる?俺これから教授のところへ行くから。できたら一緒に来て欲しい」

「いや、それは、、、車の中か近くの喫茶店で待っているよ。申し訳ない」

健は教授に会うのは少し怖かった。

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