ろまんくらぶ「仮面の天使」25

健は会話の一部始終を聞いていた。彼は自分の耳を疑い、飲み物の缶を思わず落としそうになる。 ただ亜紀の今の言葉がまだ信じられないので、わざとドアをノックしてスタジオに入る。普通なら押せば開くのだからノックはしていない。

亜紀は少しびくつくと、わざとらしくフレンドリーな感じで

「じゃあね〜」

と言って電話を切る。健は頭の中がぐらぐらしてきていたものの、なるべく何気なさを装う。亜紀は仕事に戻り、彼は彼女に気づかれないように外部へ繋がるマイクのスイッチを肘で切る。彼女はまさか彼に全部聞かれたとは思っていない。彼は冷静さを取り戻し状況を判断する。ホントなのなら、この女はきっと尻尾を出す。

健は茉莉に対していきなり後悔の念が噴き出してくる。そうなると茉莉が健と離れようとしていることが意識に強く昇ってきて動揺する。

それから彼はじっくりと亜紀を観察し始める。確かに彼女は表面的には彼にとても親切だった。彼は

「じゃあ、俺はこの女にまんまと騙されて、、」

それで茉莉を結局誤解から遠ざけたというわけかと理解する。茉莉からはこの頃電話も全くかかって来なくなった。もう少しすれば離れてから1年経つ。確か彼女は1年待ってくれと言っていた。茉莉は健から本当に離れる心づもりだと彼は深く受け止める。


一方の茉莉はだんだんと荒れてきていた。彼女の父親がなんとなく荒れていた時期と感じが重なってきた。

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