ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」86
剛は対峙している男の手が細かく震えているのを見てとる。彼が実際に手を下したのではないだろうが、何らかの陰謀に関わっているのは明白だった。指示系統かあるいは連絡系統か、いずれかの系統に関係しているに違いない。すると現実に命を下していたのは誰なのか。
「誰の指示で?」
「そ、それは、、」
男は事実を白日の元に晒すことで彼自身が消される可能性をおそらく思い浮かべているに違いない。別の意味での恐怖を肌で感じている様だった。
「怯えなくてもいいし、起きたことはどうにもできない」
押し当てていた銃口を剛は下げると銃をホルダーにしまい、近くに構えていた刑事を目で呼ぶ。彼は近づいてくると剛から銃を受け取る。
「悪かった。先ほどは」
「いいえ。事情は本部から聞いています。この後の処理は任せてください。事情はこの目の前の男が話してくれるでしょうから」
「わかった。では」
くるりと剛はまた美術商の男に顔を向けると今度は彼を詰問する。
「誰の指図だ?」
男は観念したのか事実を話そうと試みるが上手く言葉が出てこない。
「周防夫人なのか」
男は黙って深く頷く。
何もかもがはっきりと見えてくる。戦火の中で持ち出され運び去られた夫人にとっての宝物。宝物以上の何ものか。それに関わってしまった剛の父と母の死。全てを隠蔽しようとする強大な深い闇の圧力。圧力。圧力。それが何だっていうのだろうか。
壊して見せよう。聖域の住人が泥沼の悪の巣窟に潜んだ薄汚い連中であることを公にするのだ。
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