ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」84

飛び出した理沙に驚いた剛は咄嗟に銃口を上に向ける。深い夜の闇に銃声が響く。動いた拍子に理沙は横転し頭に傷をおう。流れ出す血液であたりは真っ赤に染まっていく。

「大丈夫。頭は切れると流血がひどい、、、だけだから」

駆け寄った剛に彼女は安心するよう促すと意識を失う。彼の両手は彼女から流れ出す血で染まっていく。彼の中で何かが平静さを取り戻す。崩れかけていた彼自身の魂がバランスを保ち始める。彼は彼女の両手をしっかりと握ると何か永遠に失われていたように思っていた暖かさを感じ、彼女の血が彼自身に流れ込んできているように感じる。彼女の血が彼の傷口で瘡蓋のように固まっていた血を洗い流し、傷つき沈黙を守っていた柔らかな人となりを蘇らせる。

大丈夫だから、、、彼女の言葉がこだまする。

遠くから救急車のサイレンが聞こえる。理沙はそのまま病院へ運ばれる。


件の従業員は目の前で起こったことに驚いて腑抜けになり地面にへたり込む。理沙を送り出した剛の冷たい凍りつくような視線が彼に注がれる。

「どこにあるんだ?例の作品は」

その言葉に衝撃を受け、男は剛が現れた、ことの真相に気づく。

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