ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」63
一方の理沙は剛に愛情を抱いていることを感じ、何故だかそれが徐々に恐ろしくなってくる。まさか米国所属の機密情報調査会社の職員と、この先どうやって将来を共にできると言うのだろうか。彼女はそれを強く不安に思い、彼に会うことを極力避けるようになり、行方をくらませるようになる。スマホも繋がらなくなり、彼が彼女の家へ行っても普通の時間に人のいる気配がない。そのまま近所に車を停めて、朝まで待っていても彼女は戻って来ない。翌日も戻って来ない。会社にはどうやら行っているらしかったが他の従業員や瑠璃の手前、理沙にプライベートな用事があるとは言いづらく、また瑠璃がいれば理沙は電話には決して出なかった。
業を煮やした剛は理沙の行方を調査する羽目になる。行きそうな場所をしらみつぶしに当たるが、彼女の姿を見つけることがなかなか出来ない。そうこうしているうちに彼女が言っていたある言葉を思い出す。
「カフェがあるけど、硝子の猫がいるからいつも行ってる」
言葉を手がかりにカフェを探すがもちろんなかなか見つからない。猫を手がかりにネットで検索するとだいぶ絞られる。そこからやっと該当と思しきカフェを見つける。名前は「黒猫」でそこには確かに硝子の猫のレリーフがある。そういえば彼女の前職はカフェの付近の別の職場だったと言っていた。
どうにか特定できたらしい店で日長一日見張っていた。やっと彼は彼女が店に入ってくるところを見つけた。素早く席を移動して、彼女を捕まえる。
「こういうことは勘弁してくれないか」
「仕方ないでしょ。私、探偵じゃないから、調査とか面倒くさい」
「頼むよ。協力してくれと言っても何もしなくていいから」
「疲れた。気分があまり良くないの」
「逃げないで欲しいんだ。ただ、普通にしていてくれれば。その、俺のことが嫌いになったのか」
「調査会社とか、それも機密の調査とか、なんだかトラブルの匂い」
「もうトラブルの中だよ、君も。でも調査会社の職員だって、ただの人間だから」
「わかってる。でも」
「でも?」
「何で、私に近づいたのかなって」
「それは、、」
「調査のためだよね。フィクションでよくあるでしょ」
剛が口を開こうとすると理沙は遮る。
「言い訳は聞きたくないけど」
言われて彼は返す言葉もない。
「とにかく、、、帰ろう」
それだけしか彼は言うことができなかった。
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