ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」62
そしてフランスから届いた藤木の検死報告書では、死体は頭を撃ち抜かれていたとあった。彼は半年前に渡航した直後に失踪しており、家族が受け取っていたメールなどは何者かが細工したものだった。実際の死亡時期と発見から推察された死亡時期には大きな開きがあることが判明した。その二つの間に距離があれば犯行時期は不明となり、犯人の特定が難しくなる。パリのマイナス十度の冷気が死体の腐敗をより遅らせ、実際の死亡推定時期を割り出すのは困難を極めた。
彼は篠田の死に絡んで、篠田と親しかったために、藤木を退けようとしていた派閥に、罠にかけられ、陥れられたようだった。篠田の死に藤木が関わっているのではないかという噂をばら撒かれた。当時は店の名誉を保つために藤木が犯罪に関わっているかもしれないということは不問に付され、もみ消され、封印された。
その時、周防夫人と店の幹部は、藤木がまさか「あの作品」の秘密を知っているとは思っていなかった。藤木はそしてどうやら篠田の死の真相も知っているようだった。
それからというもの、藤木は店に「捏造された弱み」を握られ、彼の業績はことごとく周防家の跡取り娘、瑠璃の支持する派閥のものとして計上された。
長年の内部対立の重圧に耐えかねた藤木は、自身が全ての秘密を知っているということを利用して、それをネタに周防夫人に内密に働きかけ、独立資金を得ようとしてついに一族の餌食となった。藤木正一の死後、妻、静恵は病死し、娘、真由子はノイローゼ自殺を図った。
藤木の死亡は店周辺で密かなスキャンダルとなり、業績にも徐々に影を落とし始めていた。何度ものバブル崩壊後、経費を削り続けなければならなかった華麗なるその店に、今度は殺人の風評がまとわり着いた。
そして店の跡取り娘瑠璃は、より大胆で危険な商法である、俗に言う「デート商法」に手を染め始めた。そこには思いがけない罠が潜んでいた。
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