ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」65
新たに判った出生の秘密に加え、遅々として進まない調査の最中、剛は二十代後半位のまだ若い青年の憎しみに満ちた視線にある時ぶつかった。男は店のいつものパーティー会場で、女主人と娘を見ない振りをしつつも時々こっそりと凝視していた。ちょうどその彼の衝動的な動きの直前に、剛は耳元で囁きながら男の腕を引っ張った。
「ここでそんなことはやめろ」
「なんだって?」
剛は腕を掴み、男を会場の隅に連れて行った。
「こっちへ」
「あんたは誰なんだ」
「しっ。周囲に聞こえる。静かに」
「わかった。でも」
「あなたの味方だ、心配するな」
若い男は剛について行き、二人とも店の裏の出口へとやってきた。ドアの横にはいつもの様に、警備員代わりの従業員が貪欲で濁った目で剛達をじっと見つめていた。
「お帰りですか?」
言いながら、男は剛の連れている、今日初めて見かけるその若い男性をじろっと見た。それに気づいた剛は、手短に説明する。
「彼は私の友人でして、今夜初めてここに来たんですよ。人いきれしてしまって、ちょっと外の空気を吸って、また戻ってきます」
「かしこまりました」
それから、興味を失った看守は、二人のためにドアを開けた。
「こちらへ」
言われるままに男は黙って剛の後をついてきたが、用心深い様子を保っていた。
「何処へ?」
「私の車に入ってください」
「でも運転手が」
男はチラッと心配そうな目線を向ける。
手短に、何か英語で剛が説明すると、運転手はすぐに車を降りて何処かへ歩いて行った。代わりに剛は運転席に座る。
「これでいいだろう?我々だけだから」
「はい。これなら」
「ちょっと周囲をぐるっと回ろう」
「というと何処へ?」
「何処にも。ただ車の中で話せば誰にも聞こえない。そうした方が良さそうだし、あなたにもいいだろう」
男は黙って頷く。
「さて、と。街を一回りするか」
剛はゆっくりと車を発進させる。
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