ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」39
そんな風に理沙に入れ込み始めていた剛の日常には、かと言ってたいした変化は起こらなかった。作品の片鱗でも拾えればと思っていはいたものの、どうやらそれは甘かったようだ。会社の人間、社長とその娘、重役達の日常業務の会話からは何も得ることが出来ない。状況に対し分析に分析を重ねても今のところ何も耳に入れることは出来ない。
それよりも会社の性質とか、やり方、組織の情報が手に入ってくる。会社は労務的な部分で大きな問題があり、内部に優秀な人材を抱えていて、労働のことで苦情があってもその人物が適当に手を回して、問題を処理している。残業代は全くつかず、サービス残業が普通だ。仕事の自宅への持ち帰りも当たり前で、夜中まで仕事をするのが通例だ。
社長とその娘は社員を殆ど奴隷として扱う。彼らは「身内と敵と召使」という戦前からある古くさい経営理念に支配されている。伝統という堅い城壁に守られていて、内部が崩壊していくことには気づかない。
そんな中、従業員は会社を去っていく。剛が通うようになってから、すでに四人がいなくなった。不況の影響で給料の減給は当たり前だった。そんな会社に留まろうとする理沙に、剛は苛立ちを覚えていた。倒産の二文字が社長や役員の頭の中にちらついているのか、彼らの商売は時に乱暴だった。
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