ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」35

 家に誘われたその日、部屋をひととおり見たその後、ピカピカで空っぽの冷蔵庫を開けながら、理沙はがっかりしたようにふてくされる。

「で?今日は何があるの?お腹空いた」

「えーっと」

「だって呼んだんでしょ?来て欲しいって」

扉を閉めながら彼女は呆れ顔で振り向く。

「あ、まあ」

「何もないの?」

彼女は両手をぶらぶらさせながら剛を睨む。

「外で食べようかと」

「つまんないよー。何か作ってよ。ね」

どうやら彼女は彼の見かけ上の身分も空腹から忘れてしまったようで、駄々っ子のようにぶうぶう言い始める。

「無理だよ、俺」

「え?料理できないの?」

「多少はできるけど、、」

「何ができる?」

「カレーとか、ハンバーグとか、サラダとか、あとソテーしたりとか」

彼にはそれなりにレパートリーがあるので彼女は笑顔になる。

「結構できるじゃん。で、今日は?」

「実は予約しておいたから」

「なーんだ」

そういう彼女の反応に多少変わった相手だと彼は困惑する。大抵は高いフランス料理店へ連れていけと言われることが多かったためだ。

「いいでしょ?イタリア料理」

「まあ、美味しいなら。で、場所は?」

「新宿」

「あ、もしかして」

「知ってるのかな?」

「ピザの美味しいとこ」

どうやら彼女の機嫌は直りそうだった。

「入り口でイタリア語で挨拶する店員のいるところかな」

「まあね」

彼女の表情はそこであからさまに明るくなる。

「あそこよく行くの?」

「たまにね」

「じゃ、行こう!で、帰りにちょっと買い物もしようよ。冷蔵庫一杯にしないと」

「わかったよ」

答えながら場合によっては食材が無駄になるかも知れないと彼は想像する。

「じゃ、出かけよう」

店がわかると彼女はいそいそと支度を始める。

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