ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」22

「はい、お電話かわりました。宇津木です。先日は、お越しいただきありがとうございます」

「いえいえ、それより、今日、ランチでもいかがでしょうか」

「今日ですか。あの、1時くらいでしたら」

「忙しいのかな」

馴れ馴れしい口調に理沙は面食らう。

「ええ、仕事が立て込んでいて」

「じゃあ、1時に。何処で待ち合わせしますか?」

「サザンテラスとかでしたら、レストランも色々ございますので」

「じゃあ、一階のロビーで」

「ええ」

「何か食べたいものはある?」

「ええと、その時に決めるのは駄目でしょうか。その」

急なことなのでという言葉を理沙は飲み込む。

「いいですよ、それでも」

「それでは、一階で」

「待ってるよ」

「はい、、、それでは」

電話を切りながら、理沙は結構大きなため息を吐く。横に座っている上司が何事かと不審な顔をする。

「さてっと、、、仕事仕事」

彼女はさらにため息を吐く。

「どうかしたんですか?」

「いえ、別に」

「ため息ばかりですね」

「まあ、その、今週疲れていまして、すみません」

「気をつけないといけないですね」

「はい」

まさか、上司に、店の大切な顧客から食事に誘われたなどと、ペラペラ喋るわけにもいかない。上層部の耳にでも入ったら、ただ睨まれるだけだからだ。このクラスの客に、まだ入ったばかりの従業員が近づくのを、周防家の人々は好まない。

目の前に山積みになっている書類を見ると、なるべく早く処理しなくてはとパソコンのキーを叩く指を理沙は忙しなく動かす。


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