ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」7
「でも、どうしてその宝石が日本にあると判明したのですか?」
「それは、詳細はその資料に書いてありますが、かいつまんで言えば、私は、代々受け継がれた家宝を探しています。それはかって父が捜していたものです。父の日記によれば、その宝石の存在を、それが鑑定に出されたことから知るようになったそうです。鑑定を依頼された会社の内部の知人から、その宝石が戦時下で奪われた品物であることが内密に伝わってきたそうです。つまり、もともとは私達のものであり、お金ではなく、それを返還して欲しいだけなのです。決して高いものではありません」
「他に、この資料にあること以外、隠していることはないでしょうね」
「、、、ないわけではありません。しかし」
「しかし?」
「今、ここで話すことが適切とも思えません。いずれ話すことになるとは思いますが、私の推測を、調査が始まる前にあなたに語るわけにはいかないのです。さらに」
「さらに?」
「私の推測が、正しいとは言えないからです。いずれ調査が進めば、あなたがどうしても知りたくなること、あるいは裏付けが必要になることが、必ず出てくるはずだからです。もちろん、私の考えが正しければの話ですが」
「もし、間違っていたら?」
「その時は、、、少なくとも、この調査の半分は意味が無くなるのです」
「半分?」
「その半分は、、、多分」
「多分?」
「いえ、やめましょう。今は意味がないのです。もしかしたら全て私の誤りかもしれないのですから」
夫人はそこで一旦言葉を切る。
「真実は、自ずから姿を現すでしょう」
「分かりました。いずれ、、」
「それから、もちろんご存知だとは思いますが、この調査は極秘です。もしその宝石がまだあるのなら、それを捜していることが相手に分かれば、宝石が壊される危険性があるからです」
「分かりました」
「つまり、それと関連して、この事件の性質上、あなたひとりに取り敢えずお願いしたい。何も犯罪組織を相手にするわけではないので」
「それは、解っています」
戦時下での盗難は犯罪ではないのだろうか、、、ふと剛は疑問に思うものの、そのことは黙っていた。
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