ろまんくらぶ「仮面の天使」94

「玉木雅矢、、、か」
渡されたチケットを茉莉はじっと見る。バーテンダーはふたりが少し近づけばいいなあといい加減に考えていた。
「もう一杯」
「濃くします?」
「ううん、普通で。なんだか酔いがさめそうだけど、いいの」
「かしこまりました」
茉莉はカウンターに立ててある小さいメニューを手に取る。
「あと、コレ、ハニーピザとポテトチキン」
「お時間少々かかりますけれど、お席に運びましょうか?」
「うん、そうして。席はあそこの」
「かしこまりました」
グラスを手に取ると茉莉はフロアーの横の通路を行き、自分の席に向かう。戻ると京子と智子が興味ありげに茉莉を見る。
「見た。見たよ」
茉莉はちょっとため息をつく。
「ああ、彼のこと?」
「そう。バーのとこで何話してたの?」
チケット3人分を茉莉は差し出す。
「来てくれないかって招待された」
「え?そうなの、、、どれどれ、、、玉木雅矢、、」
「知ってるその人。ちょっと有名。作曲家の中では」
智子が嬉しそうな声を出す。
「そうなんだ。どんな曲作るの?」
「うーんと、少しテクノがかっているけれど、基本現代音楽みたいな。あんまり流行りとは関係なさそうな」
「踊れる?」
京子はとんちんかんなコトを言う。
「あー、踊るとか、そういう曲ではないみたいだけど」
智子は真面目な顔になる。
「面白いの?」
今度は茉莉が尋ねる。
「どうだろう。まあ、行ってみてもいいかも」
3人は招待券をもらって、行く気になっているようだった。
「おまたせいたしました」
ごくごく若いウェイターが料理を運んでくる。
「あれ、頼んでないよ」
京子がつぶやく。
「いいの、私が頼んだの」
茉莉が店員にお皿を置くように促す。
「これ、何?この黄金色の」
「それ、ハニーピザ。甘いと思う、蜂蜜だから」
「美味しそう」
「ありがとう、茉莉」
3人はちょっとした料理を前に無邪気に喜んでいる。


そしてマンションでは健が台所で1人、時計のコチコチいう音を聞いていた。

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