ろまんくらぶ「仮面の天使」20

「わかった。あなたがそう言うのなら。でも、少しあっちの部屋へ行ってて。そこの扉、閉めておいて」

ひとりになると茉莉はあまり声を出さすに泣き始める。書斎にいながら、彼女が泣いているが健に聞こえる。彼女は堪えるように泣いている。彼は机に肘をついて、頭を抱えていた。

俺は2度も、彼女を、それも今度はひどいやり方で振ることになる。彼女はかなり長いこと居間に閉じこもり泣きながらじっとしていた。ひとしきり泣いて、涙が乾いてくると彼女は彼に

「帰るから」

一言告げ、そのままマンションを出て行こうとする。彼は書斎から出てくる。彼女は彼に背中を向けたまま弱々しく言う。

「あなたが別れたいなら、私」

彼は何も言えなくなる。

「じゃ」

彼女はそのまま帰って行く。彼は扉を閉める。扉の後ろで自分の取った行動に悩み始める。悩みながら今はこれでいいんだと思い始める。

茉莉は家へ戻る。とにかく騒いだり人前で泣いたりしたくなかった。また両親が色々と言ってくるに決まっているから、内緒にしておこうと思った。健は健で、どうせまた彼女の両親が何か言ってくるに違いないと思っていた。彼女が全部ぶちまけて、俺が悪者になるに決まっていると予測していた。

家へ帰ると茉莉は両親の前でにこにこする。食事をきちんととって、夜中みんなが寝静まると、ひとりで泣いていた。朝になると、一生懸命、蒸しタオルでまぶたの腫れをとった。とにかく家族に心配をかけたくないし、健を周りから責められるのは嫌だった。茉莉はもうかなり大人で、このことはひとりで処理しようと決めていた。健は、月曜日も、火曜日も、茉莉には電話しなかったし、話をしたくなかった。しばらくすれば、彼女の父親や母親が怒鳴り込んできて、自分の両親や弟も騒ぐと思っていた。


会社ではあんなことがあったにも関わらず、亜紀が親切で、何も気にしていないので、健は本当に亜紀に惹かれていった。彼は彼女と付き合いたいと思い始める。



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