ろまんくらぶ「仮面の天使」3

意気消沈して帰国した茉莉は、一時、食事も喉を通らなくなる。淡い恋のはずがいつの間にか昇華が始まり、本物へと近づきつつあった。彼女の母は予想していたことが起きたと思いながらも、娘が何事もなく無事に帰ってきたことにとりあえずほっとする。父は当然のように怒るが、娘を取られなくて良かったと胸を撫で下ろす。


9月に入り、学期の準備が始まり、その期間に健が一旦帰国する。周囲の問いかけに対して、茉莉を傷つけたことは分かっているし申し訳ないけれど、その気がないのに思わせぶりな態度を取ることはできないとはっきり説明する。ただ、そんなことは半分は嘘だと彼は意識してはいたけれど、双方の家の親たちの手前、そう話すしかなかった。

9月の終わりには健は再びパリへ発つ。空港へ見送りに来たのは健の親族だけだった。


10月に入り、茉莉は念願の大学生になる。一時に間に感傷は収まり、久しぶりにしっかりと勉学に励む日々が始まる。父の関係で勧められるままに医学部に入ったものの、ぼんやりとしていて、まだ進路もはっきりしなかった。医学部と言っても将来の職種は多岐に渡り、何を専攻しようかな〜などと呑気に考えていた。そんな彼女の存在は周囲にある種の癒しを与えていた。

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