ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」98

剛の中で何かが生まれ変わろうとしている。ごっそりとまるで心臓を覆っていた剛毛が落ちていき、ドクドクと暖かい血が全身を巡り始める。彼を縛り付けていた嘘で塗り固められた過去がこぼれ落ちる砂のごとくに消え去る。

生きている。これが生きているということなのか。大きな声で叫び出したい衝動を抑え、彼はこちらを振り向いている刑事の元へしっかりと歩き出す。足の下の緑の絨毯がこんなにも心地良いことは生まれて初めてだった。そう。彼は今初めて本当の意味で自分を見出し、世界を見出し、泣き出したいのを必死で堪える。

明日。そう、明日が見える。自身を慈しみ、最愛の女性を慈しんでいる未来がはっきりと見える。何かが終わり、彼は少しずつ再生していく全身を痛いほど感じ始めていた。

FIN

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