ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」71

 剛は書棚から急いでその作品集を手に取りレジへ向かう。すぐにくだんの営業マンへ連絡する。亜由美は長期の出張に出ていると告げられる。モデルになる件で彼女と何とか連絡を取れないかと持ちかけると、営業マンは快く応じ彼女の旅先を調べてくれるという。

そして剛は、彼女を店で見かけた時に、何か逃げるようなそぶりをしていたのを思い出す。営業マンには、彼女を驚かせたいから行くことを内緒にしておいてくれと頼む。

亜由美とは思ったより早くに連絡が取れ、驚いたことに剛の来訪に逃げ出そうとはしなかった。何か覚悟を決めていたようで、いつかこうなると思っていたと彼女は静かに話し出した。亜由美はそして剛をアメリカに置き去りにしたことから説明を始める。

それから剛の母親は亜由美ではなく、野上幸恵という女性だと告げる。

「彼女はあなたを公園で産み落とした後、私にあなたをアメリカへ渡らせるように指示した。それと引き換えに、彼女は私に留学資金を援助してくれた、、」

「それが、俺の母親だと、、」

「そう。それがあなたの実の母親。私は、あなたを一時的に引き受けただけ」

「何故、俺の母は俺を産み捨てたんだ?何故、一緒に連れて行ってくれなかったんだ」

「それは、私にはわからない。何も聞かない約束だった。私は、ただお金が欲しかっただけ。それだけ」

「、、、こんなことを今聞いても、、、俺はどうにもできない」

言いながら剛は肩を震わせる。

「あなたの、名前はだから私の姓ではない、野上、とアメリカで届けられたの。あなたの母親の名字よ」


それ以上、剛は何も聞くことがなかった。亜由美と別れ、彼はひとり反芻する。

世界の全てが崩れていくような感覚が襲ってくる。


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