ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」68

 翌朝、その若い男性、瀬田豊に、剛は復讐の計画を練るために電話をする。最初に、瀬田が自由に動けるように店に何らかの方法で出入りさせなければならない。名前も変えざるを得ないだろう。万一知っている人間が店の中にいると困るからだ。まるで悪魔がその時の剛の耳元に囁いている様だった。そして、悪魔が、その若い男を自由に泳がせ、目的を遂行させるためにあらゆる物質的な手段を与えなければならないと告げる。剛は、その時、周防社長のあの言葉を考える。

「ちょっと、この方の身分と身辺を調べてちょうだい。お金があるのか、身元がしっかりしているのかどうか。良ければ、今度のプライベートパーティーに招待したいから」


そうか。それが一番簡単だ。

瀬田にはある一定のステータスを与えれば事はすんなりいく。例えば、アメリカの会社の支店の社長とか、、、剛自身がそうであるように。

その晩、剛は早速アメリカの夫人にその件を依頼する。

「分かったわ。明日の朝までに、全ての必要書類をファックスで流します。でも、その瀬田さんが英語を話せないとどうにもならないのですが」

「了解です。それは私が何とかします」

夫人はそれから非常に素早く物事を運んだ。その晩、日本時間の翌朝までに、剛は全ての必要書類をファックスで受け取った。

「私の会社の本当の役職です。場所は」とか「男性は、日本をかなり以前に出国し、私の会社で仕事をしている管理職の本物の身分を彼に提供します。その為には写真などが必要です、、」等と記載してあった。「いずれにしても、英語を鍛錬してください」と明記してあった。

その「本物」の書類のコピーには、復讐の為に嘘のステータスを確立させるために必要なものが全て含まれていた。瀬田の名前は「滝沢」に変わった。

その日から、昼夜問わず英語の訓練が始まった。幸いにも「滝沢」はアメリカに留学したこともあり、美術品の輸出入に関わる仕事の為に、英語をある程度までは習得していた。

剛は、彼自身の中の黒い欲望を抑えることが不可能になっていった。一体何を自分が行おうというのかが分からなくなっていった。どろどろとした闇が染み出すようにまとわりつき始めた。

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