ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」60
しばらくして剛はハワイにある隠れ家に理沙を案内する。別荘はソーラーシステムで稼働していて、不在の時にはシステムをオフにしてある。ラニカイビーチのすぐそばにあり、夜はロマンチックな雰囲気がする。ハーブの入ったアイスティーを飲みながら、一緒に夕日を眺め、こんな過ごし方をしたかったと告げる彼に、彼女は初めてほっとした。彼の表情は自然なもので、日本でのどこか緊張した面持ちとは別の穏やかさがあった。アメリカ育ちの彼の魂はアメリカのものだった。
だが、日本へ戻ると落ち着く間も無く、店の現代作品を中心に取り扱っていた、一見陽気だった人物、藤木正一の死をまず知らされる。
藤木の死は不審死とされた。出張したまま半年経過しても連絡が取れなくなり、家族からは失踪届が出されていた。藤木はパリの森深くで頭を撃ち抜かれ横たわっていた。目撃者は出ず、犯人はすぐには見つかりそうもなかった。そしてそのすぐ後、藤木の妻は衰弱して病に倒れ、程なくして亡くなった。彼等の娘は父母を同時に亡くしたことにショックを受け、吸い込まれるように死を選んだ。その日、同線の別の車両に乗車していた理沙は、しばらく列車の中で足止めをされた。駅員に聞いたところ、亡くなっている場合は検死に一時間はかかるだろうとのことだった。去年から多数の事故に遭遇していた理沙は深いため息を吐いた。
一体、誰がこの国を救えるのだろう、、。
藤木の通話記録を警察が調べたところ、違法な通信機器が使用されていた。藤木は何者かに言葉巧みフランスに呼び出されていた。おおかた取引の誘いか何かだろう。買い付けのための海外出張は日常よくあることのため、誰も不審には思わなかった。違法な機器であっても元の持ち主の契約自体が生きて継続している場合、繰り返された転売の足跡を辿ることは容易ではなかった。最後に誰の手に渡り、どこで使われたのか、海外の通信網が関わっているとなると捜査は困難を極めた。
藤木はそしてパリに呼び出され、ホテルに一泊した翌日、忽然といなくなった。彼は一体誰に呼び出されたのか、、。
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