ろまんくらぶ「Thirteen 12ー再生ー」53
用心のため、彼女は自分の家に置き手紙をしてきた。自分に何かがあった場合、帰宅が長期に渡ってできなかった場合、管理人が読むことができるようにしてあった。剛が指定した時刻が夕方だったことが彼女に不安を起こさせた。
いつものように、彼の家へ呼ばれた時によくあるのだが、ピザとコーラやビールで軽く食事を済ませた。二人は映画を見たりしてよく過ごしていた。その晩もいつものようにアメリカ映画を見ていた。DVDの一本目が終わり、剛が飲み物をとりにキッチンへ行く。軽く一杯やってから洗面台へ彼が立った隙に、理沙は家の中をぐるりと見回す。そして彼女は家の奥にある、いつもはピッタリと閉じられている部屋の扉が、少し開いているのを目に留める。前にその扉のノブを回した時は、鍵がかかっていた。彼がまだ戻ってこないのを確かめると、彼女は恐る恐るそこへ忍び込む。そして大きなデスクの周辺を見回す。机の右側の書棚にある「店に関する報告書」と書かれた黒くて分厚いファイルに気づいた時、彼女の真後ろには彼が立っていた。
「気づいた?」
言いながら彼はその指を彼女の首筋に後ろから回す。いつの間にか背後に来ていた彼の声に彼女はびっくりして振り向く。
「君の分のファイルもあるよ」
「どうして、、」
怯えた声の彼女。
「別に君の私生活を記録しているわけじゃないんだ。事件に関係ないものは割愛してある」
理沙は剛のその言葉を信じてはいなかった。彼女の視線から彼女がもう彼を信じていはいないのが剛にはわかる。さらに彼女の身体の硬直からその恐怖が伝わってくる。
「君のことを調べているわけじゃない」
真顔でそう言う、彼の腕の中で彼女は震えている。それから少し身体を離すと、彼は彼女を静かに椅子に座らせる。抵抗しないのは、「俺の事がよほど怖いからなのだろうか」と思うと剛の態度は穏やかなものになる。そしてゆっくりと重々しい声で話し出す。
「協力して欲しいんだ」
「協力?」
「そう」
深い闇のような沈黙が二人を取り囲む。
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