ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」30

 そうかと言えば、顧客と営業マンの投げやりな調子の会話が聞こえてくる。

「土地だって、株だって下がってんだからさ」

「まあ、ええ」

「だからどうにもなんないんですよ」

従業員の中には、どうやら美術品の作品を補修するための薬品を吸引しているらしい人物もいる。その人物がぶつぶつと独り言を言いながらフロアを行ったり来たりしている音が耳に入る。

「ったく、、、どうすればいいってんだよ、、、真面目に」

すれ違う他の社員がそれを耳にする。

「あの、何か言いました?」

「あ、いや、独り言独り言、気にしないでよ」

「はあ、まあ」

それらを象徴するように、空気が澱んでいるのか、時々、理沙の咳き込む音が聞こえてくる。どうやら、彼女は、タバコや薬品の匂いに対するアレルギーでもあるらしい。

そんな空気の濁った社内の雰囲気を引っ掻き回すような怒鳴り声が、時折響いてくる。

「おらー!何やってんだよう、さっさとしろよ!うすのろ!」

どうやら年配の社員が若い者をどやしつけているらしかった。

「こうすんだよ!この野郎!くそったれ!」

さしずめ英語で言えば、blockhead、ass、shit、fuck、、、フランス語だとmerde、cochon、con、、、いずれ劣らず下品な言葉使いをしている。日本の老舗ではこういう教育をするという見本の様なものだ。それらの言葉を抵抗無く受容すれば、やがて彼等もそれを自然だと思い、いずれ新たな社員にそれを適用するのだろう。伝統はこうして受け継がれるのだ。

それらの罵声に混じって、社長室からも時々耳をつんざく様ながなり声が聞こえてくる。

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