ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」80

剛が理沙を避けるようになって、一緒に住む話も立ち消えになり、理沙は別の場所へと引っ越していった。

でも彼は自身の出生の真相へと近づき、無性に彼女に会いたくなる。結局、相変わらず美術商に勤め続けている彼女の現住所を、翻訳の仕事を頼みたいからと口実を作って管理職から聞き出す。

彼女に会えば何かが変わるかもしれない。


「久しぶり、、」

そう言う剛に理沙は何も怒ったりはしなかった。彼が何かに苦しんでいるのははっきりとわかっていた。

「君の言っていた見えない心の意味が何となくわかったよ、、。見えないものを見ようとしても無駄だって言うことが」

それから彼は実の父と母のことを彼女に話し始める。聞き終わった彼女はまた自身の過去を話し出す。

「私は、、、階段からどうも落とされたらしいの、、。ほら」

言いながら彼女は前髪を生え際までかき上げる。そこには確かに小さな傷が、はっきりと残っていた。

「頭が、ボールみたいに腫れたんだって、、、さ」

彼女の瞳から雫が溢れる。

「今でもわからない。どうして、その、母がそうしたのかは。彼女はもうとっくに死んだから、、、遠くで」

何を見ているのかわからない透明な視線が彷徨う。

彼女は黙り込む。

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