ろまんくらぶ「Thirteen 13ー再生ー」55
理沙をリビングのソファに座らせると剛はキッチンから水割りを持ってくる。
「飲むと気分が落ち着くよ」
それを受け取り彼女は黙って口をつける。しばらく見ていた彼は彼女の手からグラスを受け取ると落ち着かせるように肩を撫でる。彼女を引きずり込むことになっていながら、何故か彼女に引きずられるような感じがする。彼女のどこに「俺を引っ張りこむ力があるのか」とだんだん彼は自制心が効かなくなってくる。彼女の中に存在するある種の波長との一致が原因で、彼自身を奥底から目覚めさせ、調査にも影響を及ぼしている。同時にそこから全てが崩れていくような感じがしていた。
そして、その夜、生まれて初めて剛はごくごく当たり前の想いが彼を動かしていることを感じた。生まれて初めて「愛している」と口にした。その言葉と彼女への接し方が何か深刻な色を帯びていたため、彼のその言葉を疑うことは難しかった。彼の愛の言葉には何かせっぱ詰まったものがあった。
その夜、多分、出会ってから初めて、二人は深く結びついた。二人の結びつきの中には、しかし理屈では説明できそうもない深い闇が横たわっていた。
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